油絵買取

油絵買取

ご自宅にある油絵・水彩・デッサン等の絵画の買取をさせて頂いております。 水彩やデッサン等は学校で描いたことがある方も多いと思いますが、油絵は描いたことある方は少ないでしょう。
美術館等でよく目にする機会が多いと思いますが、油絵は平面に描かれていながら立体感があり迫力があります。
絵画鑑賞という観点から見ますと非常に馴染み深いジャンルになるでしょう。
油絵・洋画に関しましては買取品目の中でも最もお問い合わせをいただいております。
作家自身の相場だけではなく制作年、絵画作品のクオリティ、題材等を考慮して金額のご提示をします。
日本国内だけではなく海外での市場も考慮した査定をしますので、作家の国籍問わず一度ご相談ください。
下記に「油絵とは何か」をより詳しくまとめましたので是非ご覧ください。

獏の油絵買取が選ばれる
3つの理由

正しい価値を正しい金額で

当社では【正しい価値を正しい金額で】買取価格をご提案する事をお約束致します。絵画・骨董品と呼ばれるジャンルは金額が不透明な世界です。古い作品や市場価値がある作品に関しては贋作も存在し専門家ではないと正しい金額を導きだす事が難しいです。
また、正しい価値を見出したとしても適切な販路と正確な相場感がないと正しい金額でお客様にご提案する事ができません。国内よりも海外の方が同じ作家でも1.5倍評価が異なるケースもあれば、その反対もあります。
当社では正しい価値を見出し、正しい金額でお客様に査定額をご提案させていただきます。

国内外から物故作家まで豊富な取り扱い実績

10年以上の業界経験と日々蓄積された買取データを駆使して幅広い作家・作品を取り扱っております。日本若しくは世界の主要マーケットで評価されている作品であれば独自のルートを駆使して買取金額をご提案させていただきます。ただ、日本国内である程度流通がない作家さんですと取扱いが難しいケースもあります。また、美術的に価値が高い絵画・油絵だったとしても市場では評価されていない事もあり、買取時には市場での評価を優先しております。

出張買取(無料)で即日査定、その場で現金買取も可能です

絵画・美術品に関して専門のスタッフで運営しております。日々、相場や新しいジャンルの勉強に勤め、正しく価値を見出し、正しい金額でご提案できるように精進しております。そのため、出張買取(無料)にて即日で査定金額をご提案する事が可能で、1000万円を超える作品でも当日中にお支払いが可能です。ただ、例外的に鑑定の取得が必要な作家、文献等で調べる必要がある作品に関してはお時間をいただく事もございます

絵画(油絵・洋画)の買取相場(10号程度として)
※23年1月時点

作家名 モチーフ 買取相場
東郷青児 人物画 ~200
三岸節子 ~300
香月康男 母子 ~1000
梅原龍三郎 薔薇 ~500
中川一政 ひまわり ~250
有元利夫 人物 ~800
荻須高徳 パリ風景 ~350
山口長男 抽象 ~500
高塚省吾 裸婦 ~100
鴨居玲 老人 ~700
カシニョール 人物画 ~400
ビュッフェ ~500
キスリング 女性 ~700
ヴラマンク 風景 ~300
ユトリロ 風景 ~800
ローランサン 女性 ~700
アイズピリ 70~250
デペルト ゴルフ場 20~50
ブラジリエ 風景 ~200
カトラン 静物 ~100

数十万円以上の査定額になる油絵作品?

ある程度の著名な作家さんでも買取金額で数十万円ご提案できる事はそこまで多くないでしょう。文化勲章作家や華やかな受賞歴がある作家だとしても現代のマーケット上で需要が無ければ厳しい評価となります。裏を返せば受賞歴や長年の実績が無くても欲しいコレクターが多い作家は数十万円の買取金額がつく事も往々にしてあります。
買取ベースで10万円を超えるのは一部の人気作家となります。

100万円以上の査定額になる油絵作品は?

100万円以上の買取金額を出せるケースは数々の出張買取(無料)を行っていますが多くはありません。買取ベース百万円以上となると購入価格が1000万円を超えている事も多く、地方の美術館では回顧展や没後○○年記念などで展覧会が行われているクラスとなります。100万円を超える作家は亡くなっている巨匠も多く、その場合は鑑定書を取得する必要があるかもしれません。

1000万円以上の査定額になる油絵作品は?

1000万円以上で買取できる油絵は美術コレクターだけではなくアートに興味がない人でも知っているようなごく一部の作家のみとなります。つまり美術の教科書に載っていてもおかしくない方で、美術館とかでは回顧展が行われるようなレベルの作家です。もちろん知る人ぞ知る作家もいますが、ある程度知名度と市場価格は相関関係にあるといえるでしょう。
具体的にはルノアール、マルクシャガール、ユトリロ、草間彌生、奈良美智、藤田嗣治、岸田劉生などが挙げられます。

油絵を高く売るポイント

専門家の立場から絵画買取の際に高く売れるポイントを紹介させていただきます。

保存状態はどうか?

絵画の査定に関して保存状態により大きく買取金額に影響を及ぼします。修復が必要なのか、経年による劣化のため許容範囲内のダメージか等により提示金額が異なります。査定時の考え方として、コンディションが良い作品を上限としてダメージの程度による減額方式となります。ダメージが酷く、作品として成立していない状態(キャンバスが破れている、絵の具の剥落がある等)でも可能な限り良い買取金額をご提案させていただきます。

油絵・洋画に発生しやすいダメージと買取価格への影響は?

洋画作品と呼ばれる技法は油絵・アクリル画・フレスコ画・テンペラ画等ありますが、現在では油絵作品が主流ですので、油絵作品の発生しやすいダメージとして進めさせていただきます。まず、油絵は顔料という色がついた粉に展色材(バインダー)という接着剤のようなモノを混ぜた油絵の具を使い描いた作品を言います。油絵の特徴は、立体感を出したごつごつしたような作品から、写真の様な表面がフラットで光沢感がある作品まで幅広い表現方法が可能です。なので、油絵の具の使い方によって多少発生しやすいダメージが異なります。

美術品は現物を見なくても金額が出せるの?

美術品は作家名・技法・サイズ等のいくつかの条件が合わされば、現物を見なくても概算価格を出すことは可能です。しかしながら、作品のコンディションにより評価は変わりますので、最終的な買取価格は現物を見てみないと決定することが出来ません。美術品の買取に従事していると、様々なダメージと遭遇します。深刻なダメージが出ているものから、軽いものまであり、買取価格に影響を与えます。美術品の買取業者は基本的に保存状態が良い前提で概算価格を伝えますので、現物を確認してダメージが出ていると評価が下がります。
美術品の売買を繰り返す方は少ないと思いますので、身近なもので例えると衣類や着物などが分かりやすいのではないでしょうか。衣料品を購入するのには様々な理由があるはずですが、主に熱さや寒さなど気候に合わせて体を守るためか、デザインや色合いなどで自己表現するためではないでしょうか。最近ではファンション性を重視する方が多いかもしれませんが、この2つの基準から予算や相場観を踏まえて購入するかどうかを決定しています。その中で、シミがついている、穴が開いている等ダメージが出ている服だったらどのような決定を下すでしょうか。よっぽど欲しいデザインや希少品じゃない限りは購入しないですよね。美術品にも同様なことが言え、極端に希少性が高いなどの理由が無い限りはダメージが出ていると評価は下がります。新しく購入するお客様は作品の状態を踏まえて買うかどうかを決定します。

注意が必要な絵画・美術品の買取業者

大前提としては専門知識があるかどうかですが、ダメージに関わる側面から紹介します。 まずは現物を見ていない買取金額を確約する業者には注意が必要です。多少のダメージが出ていても大丈夫なように、最初から買取金額を低めに出しているかもしれません。反対に概算価格を高めに設定して、現物確認後に大幅に金額を下げる業者もいるそうなので、現物確認後の金額で比べるのが良いかと思います。
他には、ダメージがあるだけで極端に値段を下げる業者です。冒頭で述べたように、ダメージは深刻なものから軽いものまで幅広く存在します。衣料品で例えると、深刻なダメージは破れているような服で、軽いダメージは見えにくい所に小さなシミがついている服と思っていただければいいでしょう。破れているような服だと商品価値は無いので破棄するしかないですが、小さなシミ程度でしたらB級品扱いで売ることは可能ですよね?少しの費用をかけてクリーニングに出せばシミが取れて完品として販売できるようになるかもしれません。美術品も同じように致命的なダメージですと極端に買取価格は下がりますが、軽度のダメージでしたら修復したりできますので極端に評価が下がることはありません。なので、ダメージが発生しているだけで画一的に金額を下げる業者には注意が必要です。

どのような絵画・美術品の買取業者なら信用していいか?

残念ながらダメージがあればその分評価が下がるのは当然です。では、その買取業者がダメージを理由に評価額を下げた時に信用してよいかはどこで判断するべきでしょうか。買取担当の人柄でしょうか?それも判断材料の一つとしても良いかと思いますが、重要なのはダメージが発生する原因や、修復が出来るかどうかを説明できるかどうかでしょう。ダメージについて詳しく説明できなければ、そのダメージが買取価格に影響する度合いを理解していないことになります。キャンバスが破れている等の致命的なダメージは説明の余地はありませんが、部分的なワレなどは修復できる場合もあります。例えば修復できないとB級品扱いで元の価値の半額になり、修復したら八掛けの価値があるとしたら買取価格は変わるのが当然です。修復できるかの知識が無ければその判断は出来ずに、とりあえず安く買うことしかできません。 なので、予防策としてお客様が気になった事を質問して、その解答が明瞭で理解できるかで判断してください。その為には、売却するお客様自身も多少の知識も必要となります。簡単ですがダメージの種類と買取価格に対する影響をまとめましたのでご覧ください。

絵画・油絵の発生しやすいダメージは?

冒頭でも触れましたが、油絵の具は自由自在に表現できるので、表現方法により作品の見た目が変わります。立体作品のように絵の具を沢山使った作品から、筆の跡すら残さない薄く伸ばした写真の様な作品まであります。これら油絵の具の使い方が関係なく発生しやすいダメージを見ていきます。 代表的なのは<ワレ><縮み><カビ><シミ><剥離>です。

ワレ

名前の通り、絵の具が割れている状態です。ガラスにヒビが入ったような直線的なダメージになります。

縮み

絵の具の収縮により発生すると言われています。ワレのように直線的ではなく、ミミズが這ったような曲線的なダメージです。ワレと縮みは見え方が少し異なるだけで同じようなダメージです。画面の何割に出ているか?作品のどの部分に発生しているか?で評価が変わります。

評価→一部分でしたら修復は可能ですが、費用を考慮すると修復せずにそのまま一部ダメージありという評価で流通させることが多いです。また、ワレや縮みが発生している箇所も重要です。例えば人物画ですと、作品の華は顔であることが多いです。その為、体にダメージが出ているよりも、顔にダメージが出ている方が評価は下がりやすいです。ダメージが出ている箇所も重要な判断材料になります。

カビ・シミ

名前の通り、油絵の表面にカビやシミが発生することを言います。意外と思われる方が多いかと思いますが、カビやシミも油絵の具からも発生します。食べ物みたいに数日で発生するわけではなく、数年から十数年かけて発生していきます。 評価→初期のカビでしたら表面をキレイにするだけで取れます。初期のカビは表面上に出る白い胞子状の物体なので、乾拭きなどで取れます。しかしながら、カビが発生してから時間が経つと油絵の具の芯までカビが侵食して、表面をキレイにしても、黒くなったり、色が抜けたり、不自然な跡が残ります。その為、カビが出ているからといって評価額が大幅に下がるとは限らず、進行度合いを見極める必要があります。少しの手間でキレイに出来るカビもあるので、定期的に作品をチェックした方がよいでしょう。
また、シミに関しては深刻なダメージです。劣悪な環境で長年放置していないと発生しません。出ている場所や範囲にもよりますが、大幅に評価が下がる可能性が高いです。

剥離(はくり)

表面の絵の具が取れて下地が見えている状態です。油絵の中では、物理的な瑕疵を除いて最も酷いダメージです。剥離にもいくつか種類はありますが、共通する点は絵の具が剥がれている点です。描かれた絵の具が落ちてしまいますので、作品に空白部分が現れます。
評価→剥離が発生している場合はワレや縮みなどのダメージも合わせて出ていることが多いです。それほど剥離というのは酷いダメージといえます。剥離の範囲が狭ければ修復も可能ですが、他のダメージが出ている可能性も高いので、修復しない事が多いです。ご自身で鑑賞するのであれば修復するのも良いです。しかしながら、修復済み作品(B級品)としてしか取り扱えない点と修復費の高さを考慮すると換金性は著しく下がるでしょう。当社でも相場がある作家だとしても剥離の程度が酷い場合は断るケースもあります。

ピンホール

これはダメージに含めない業者が多いかと思いますが一応紹介させていただきます。ピンホールとは作品の四隅に開いている穴になります。
ピンホールが出来る原因は、作家の描き方です。通常はキャンバス地を木枠にはめて、イーゼルに立てかけて描くことが多いです。しかし、一部の作家はキャンバスを板にピンで固定した上から描き、その後木枠にはめます。そのピンの跡がピンホールと言います。 ピンホールの原因は作品制作の過程という見方であればダメージと認識すべきではないですが、業者によってはダメージと捉えるところもあるかもしれません。当社では作品の内側に無い限りはダメージとしては認識しませんのでご安心ください。

その他のダメージ

もう1つ番外編として紹介させていただきます。
たまにキャンバスと額縁がくっついている作品があります。多作の作家さんに多いのですが、作品が乾ききらないうちに額装するのが原因です。油絵の具の性質上、油絵の具が完全に乾ききる事はありませんが最低でも3日は乾かす必要があります。当時、売れ筋の作家さんは乾かす前に額装してしまったのでしょう。
なぜこのような状態か問題かと言いますと、額は装飾としての役割と作品保護としての役割を担っています。その為、気分を変えたいときや、額が破損してしまった時に取り換えなくてはなりませんが、作品が額にくっついているのに係わらず強引に剥がしいているものもあります。そうすると額に触れている箇所や、そこに近い部分が剥がれて、剥離の様な状態になってしまいます。これも業者によってダメージとするかは判断が分かれる所ですが、当社では絵のイメージを損なわせるような剥離以外はダメージとみなしません。

作家を特定するには裏書を見る

作家名が分からない際はキャンバス裏を確認することをお勧めします。他の美術品にも言える事ですが近代の作品に関しては作家名が重要となります。作家のマーケット上での評価で買取金額が決まると言っても過言ではありません。そのため、問い合わせいただいた段階で作家名を聞かせていただきますが、相続などで作品を受け継いだ方は作品に対しての知識が無いため、画像をお送りいただく若しくはこちらから出張買取(無料)でお伺いして判断させていただくことが多いです。
油絵作品で商品として売買されていたものはキャンバスの裏にしっかりと名前が記載されている事が殆どです。作家名が気になる方はおススメの方法です。

作家によっては鑑定書が必要

既に亡くなっている作家、市場価値が高い、この2つの条件に合致する作家に関しては公的な鑑定機関での鑑定書が必要となります。鑑定書を発行することにより健全なマーケットをコレクターに向けて担保したい、作家の価値を守りたい、という目的があります。鑑定書の取得に関しては当社の方で代行(ご売却いただけるお客様に限り)も行っております。鑑定書が無かったとしてもお気軽にご相談ください。

油絵・洋画とは?

油絵とは<顔料を油で練った絵の具>で描いた作品です。

何の絵の具を使っているかが一番のポイントです。絵の具には2つの役割があり、色を出す顔料と、その顔料を定着させる油で構成されています。では、詳しく見ていきましょう。

顔料の種類

まず顔料は貝・鉱物・花など地球上にある物から生成されており、それを色ごとに粉状にしているものになります。顔料は主に有機顔料(植物など)と無機顔料(土や鉱物などの生物ではないもの)の2つに分けられます。
顔料だけですと絵を画面(キャンバス・紙等)に描いても定着しないので、顔料を貼り付ける接着剤が必要になります。顔料を接着させる素材を展色材(バインダー)と呼びます。バインダーを下記で紹介する油を使っているものを油絵の具といいます。
接着剤としての役割があるバインダーを変えると、テンペラ画やアクリル画など名称が変わります。

油の種類

油絵の具に使用される油は<乾性油>と<揮発性油>があります。
<乾性油>とは、乾燥する性質がある油です。絵の具を延ばす役割があります。
リンシードオイルとポピーオイルの2種類があります。リンシードオイルが最もスタンダードな油で、強い黄色が特徴です。ポピーオイルも黄色いですがリンシードオイルよりは弱く、乾燥速度が遅く、強度も劣ります。作者の目的に応じて使い分けられます。
<揮発性油>とは、乾性油を薄める油です。絵の具を溶かす役割があります。
テンピン油とペトロールの2種類があり、テンピン油がスタンダードです。ペトロールと比べると匂いがきつく、揮発速度が早いです。こちらも作者の目的に応じて使い分けられます。

現在はチューブ式で、最初から顔料を乾性油で練っている状態で販売されています。制作目的や表現方法により乾性油や揮発性油を追加していきます。

油絵の具の特徴とは?

まず一番の特徴は立体感でしょう。水彩画とは異なり、乾いても絵の具の大きさが変わりません。作家の好みですが立体感を出した大胆なマチエールも可能になります。作家にとっては絵の具の乾きが遅いので、時間が経ってからも修正や色のブレンドがしやすいので描きながら考えたい作家には適した絵の具です。
デメリットは完全に乾くまで何年もの時間を要すため、作品が完成して直ぐに額装してしまうと、額縁とくっついてしまい、額を変えるときに剥がれにくいです。多作で商業的な側面が強い作家に多く見られます。
また、作家にとっては独特の匂いもデメリットと言えるでしょう。

テンペラ、フレスコ、アクリルとは?

テンペラ、フレスコ、アクリルは油絵の親戚です。顔料に何を混ぜて絵の具にするかにより名称が変わります。現在でも見かけるのはアクリル絵の具を使用した作品で、テンペラやフレスコを使用している作家はあまり見かけません。使用する絵の具により作品の見え方が変わりますが、買取に関してはまとめて油絵=洋画と呼ぶ事が多いです。しかしながら、厳密には異なりますので1つずつ見ていきましょう。

テンペラとは?

接着剤として、主に卵を使ったものをテンペラと呼びます。
チューブ入りの絵の具が生まれる前は、画家自身が顔料と接着剤を混ぜ合わせて絵の具を作っており、その行為をテンペラと読んでいたのが名前の由来です。
特徴としては、油絵の具よりも乾くと色調が明るくなり、非常に発色が良いとされています。乾くのが早いので、乾けば塗り重ねる事ができ、丈夫で耐久性が高いのも特徴です。しかしながら油絵の具のような厚塗りはできず、厚塗りしすぎると絵の具のワレなどのダメージが出やすいです。

フレスコとは?

フレスコ画は世界最古の絵画技法と呼ばれ非常に古い歴史があります。およそ2万年の歴史があるラスコー洞窟の壁画はフレスコ画で描かれているそうです。
フレスコ画とは下地の漆喰が乾く過程で発生する、石灰の炭酸化現象を利用して描く技法です。その為、描く画面はキャンバス・板・ボード・紙ではなく漆喰です。今まで定着剤を何で使うかにより油絵・アクリル・テンペラと分けてきましたが、定着剤は必要なく何に描くかが重要です。ちなみにフレスコは顔料を水に溶かして描きます。

フレスコ画のメリットは発色も素晴らしく、時間が立つにつれて色彩が馴染み熟成されると言われています。また耐久性が非常に高くて長期間作品が保たれます。漆喰は乾燥が始まると表面に固い透明な皮膜ができるため、それが絵の保護層となるからです。
しかしながら、現在は大きく2つの理由で使用する作家は非常に少ないです。下地施工の難しく高度な技術が必要で、漆喰が乾く前に描かなければならないので制作時間が制限される点です。

アクリルとは?

アクリル絵の具は、顔料とアクリルエマルションという定着剤(バインダー)で作られています。水彩絵の具のように水で溶けますが乾燥すると耐水性になります。また、水で溶かさずに油絵のように使う事も可能です。水彩絵の具と異なる点は、接着力が高いので紙だけではなくキャンバス・金属やガラスなどにも描く事ができます。
アクリルのメリットは乾くのが早いので、制作が早く進み、水彩のようにも油絵のようにも使用できるので多彩な表現が可能です。油絵の具と比べて扱い易いとされています。
デメリットと言えないかもしれませんが、筆の跡が残り易い特徴があります。

水彩とは?(番外編)

水彩画とはアカシア樹脂(アラビアゴム)を定着剤(バインダー)として使用したものになります。アラビアゴムとは北アフリカに生えているアカシア科の樹脂のことで、市場に出回っている水彩絵の具はアラビアゴムが使用されている事が多いです。名前の通り水が乾燥すると画面に定着する仕組みになっています。アクリル絵の具も水で溶かして使用できますが、定着剤が異なりますので呼び方も異なります。
水彩画を専門で取り組んでいる作家は少なく、多くの作家は油絵や日本画の下絵として描いている事が多い印象です。なので、水彩画を下絵ではなく一つの作品として描いているかどうかが買取価格に影響します。

油絵・洋画の額について

額縁のダメージも査定額に影響あり?

基本的に絵画・美術品の買取業者は額縁込みの金額で概算価格を出しているところが多いです。なので、額に傷があって修復や交換をしなくてはいけない場合は、その分の評価額が下がると考えてよいでしょう。しかし、買取金額が数十万円単位の作品は、販売価格に占める額代が微々たる金額になるので、額に傷があったとしても問題にはしない所が多いかと思います。一方、数千円や数万円の作品は販売価格に占める額代が高いので、ダメージが出ている分だけ評価額が下がります。

最終的に、買い取った作品は様々な経路をたどって小売りされます。小売りされる段階では額縁に価値がある場合を除いて無傷の額に入っている事が多いので、額縁のダメージも買取金額を出すためには判断基準の1つになります。これは日本画や版画も同様です。
ダメージの種類は<傷><塗装剥がれ>などがあります。画像を参照ください。一般的な作品は修復という名目で若干評価が下がる可能性がありますが、上限は額代なので数千円~1、2万程度でしょう。

額の交換について

油絵作品は額を交換するのは容易です。理由はサイズの規格が明確に決まっているためです。サイズ表を参照ください。
縦横の長い方の長さでサイズ(番号)が決まり、短い方の長さでF・M・Pの違いがあります。このように油絵は規格が決められているので、額縁の在庫は世の中に多数あるのに対して、版画作品は明確な規格が無いため基本特注です。なので、版画作品の方が割高で額装の時間がかかると言われています。

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絵画・油絵の状態を長持ちさせるためには?

作品を管理するために気を付けるポイント

作品にダメージが出てしまうと評価が下がるという事は理解していただいたと思います。 次はダメージが発生しないように、どのような管理方法が良く、何に気を付ければよいかお伝えさせていただきます。油絵だけではなく日本画や版画も共通する点です。
作品を管理するために気を付けるポイントは4つあります。
<温度><湿度><直射日光><物理的なダメージ>です。

温度・湿度

まずは温度と湿度です。一般のご家庭では、美術館のように一定の温度と湿度で管理することは現実的ではありませんが、保管に適した目安がありますので紹介させていただきます。 絵画・美術品の保管に適したおおよその温度と湿度は下記の通りになります。
温度→20~22℃(もう少し寒くても良いとされています)
湿度→50~55%
感覚的にも温度も湿度も日本国内では厳しい数字ではないでしょうか。当然ですが朝・昼・晩の時間を切り取っても、温度の差は5~10℃くらいでるでしょう。昼と夜が存在する地球では一定の温度を保つのは不可能な環境ですが、その中でも平均数値から近い数字がないか見ていきましょう。気候が全く違いそうな、東京・沖縄・札幌の三地点で温度と湿度を比べてみます。エアコンなどの文明の力を使わず作品の保管に優れた場所が見つかるかもしれません。2019年度の月別平均温度・湿度を気象庁のデータをもとに見ていきましょう。

東京札幌沖縄平均気温

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東京札幌沖縄平均湿度

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まず温度に関しては理想の数字に当てはまるのを見ていきましょう。資料の数字が平均気温なので±3℃として、17~25℃の範囲でピックアップします。
東京→5~7、10月、沖縄→1~5、11、12月、札幌→6~9月のみです。
湿度も同様に±10%として、40~65%の範囲でピックアップします。
東京→1~5月、沖縄→なし、札幌→2~5月のみです。
温度と湿度で当てはまるのは、東京→5月、沖縄→なし、札幌→なし。
残念ながら非常に厳しい結果となりました。結論、日本国内に逃げ場は無く、文明の力を上手に使いながら管理する必要があります。四季折々の豊かな情景がある素敵な国ですが、絵画・美術品を保管する上では気候の変動はマイナスに転じます。

直射日光

当然ですが直射日光は絵画・美術品を保管する環境に適していません。作品ダメージの進行を速めて、資産価値の下落や、クオリティの低下につながります。細かいことを言えば蛍光灯なども退色の原因になりますので、間接照明の当てっぱなしは控えた方がよいかと思います。ただ、最近の額は遮光機能が備わっているものが多い為、そこまで心配する必要はないかもしれません。

物理的なダメージ

物理的なダメージとは、何らかの事故によりキャンバスが破れてしまうことです。基本的に作品として市場に出回っているものは額装されています。展覧会の出品作や一部の現代作家の作品は、作品が大きくアクリルを用意できない、アクリル越しではなくより近くで鑑賞してほしいなどの理由から、キャンバス地がむき出しになっている場合があります。キャンバスが破れたりする事は少ないですが、破れていても裏打ちという修復方法を使えば直す事は可能です。費用も手間もかかるので数百万以上の高額作品しか行わないので、基本的に買取時には評価が大幅に下がります。もしキャンバスの状態で飾っているのであれば、そのリスクを受け入れる必要があるでしょう。

絵画・油絵の保存に適した場所は?

上で述べたように温度・湿度・直射日光・物理的なダメージの4点に気を付けましょう。まずは飾る場所は直射日光が当たらず、風通しが良い場所がいいです。また、湿度や温度にも注意が必要です。理想を言えば、365日24時間空調を一定にするのがベストですが、現実的ではありません。美術品の所有者が作品を保管している場所は、納屋・屋根裏部屋・地下室等様々ですが、生活環境下に置いている作品の方が、ダメージが出ている作品は少ない印象です。例えば、リビングや寝室は在宅している時に多くの時間を過ごすでしょう。熱くて眠れない真夏だとクーラーをつけると思います。また、寒くて凍えそうな日はリビングに暖房をつけて快適にしようとします。反対に納屋や屋根裏部屋など倉庫として使っている場所はどうでしょうか。熱くて寝苦しい夜も、寒くて凍えそうな日もそのままにしている方が多いでしょう。このように自分自身や家族が長い時間過ごす場所は自然と環境が良くなるので、飾らなくてもそういった場所に置いておくのがいいと思います。
また、掛軸や日本画など季節感を前面に出して描かれている作品は、季節に応じて掛けかえる方も多い印象です。そのような場合は保管している期間の方が、鑑賞している期間よりも長くなってしまう場合が多いと思うので、空調管理がきちんとしているレンタル倉庫を借りるのも1つの手です。月々の費用は掛かりますが、大切な作品に痛みが出てしまうことを考えれば、悪い出費ではないと思います。

既にダメージが出てしまった場合は?

既にダメージが出てしまった作品はどうすればよいでしょうか。軽度なカビは取れる可能性はありますが、それ以外のダメージは専門家に任せないと修復は困難です。一応、修復に使用する道具は画材屋さんに置いてありますが、専門家に任せるのがベターです。中途半端な修復は状態を悪化させるかもしれません。所有者が出来る選択肢は、ダメージを受け入れて鑑賞を楽しむ、プロに修復を依頼する、手放して新しい出会いを探すなどがあります。ダメージが出たのを良いきっかけと思い、将来作品をどうするか考えてみてもいいかもしれません。

まとめ

シミ・ワレ・縮み・カビ等のダメージは一朝一夕では出てきません。作品にとって良くない環境に長い間置いていると、時限爆弾のように急に発生します。
高温多湿の日本国内では絵画・美術品を保管するのにベストな環境下ではありません。しかしながら、少しの手間で防ぐことができますので、上で述べたようなことを実践していただけたら嬉しいです。
絵画・油絵を手に入れるきっかけは、ご自身で購入された方、相続又は遺贈で手に入れる方、贈答品で受け取る方、様々なパターンがあります。作品に対する熱意は異なるかもしれませんが、貴重な美術品はなるべく後世に残したいと思っています。ダメージが出るという事は、作品に対する熱意が弱くなっている証拠かもしれません。そのタイミングで作品を整理するのも良いきっかけではないでしょうか。

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