現在活動している13代三輪休雪は、先代が確立し洗練させた「休雪白」の新しい表現方法を追求しています。また、彼が20代の頃にアメリカに留学し感銘を受けたことをきっかけに作品にも表現され、現代風のダイナミックな萩焼を制作しています。
三輪休雪の茶碗の値段(買取価格)相場
三輪休雪の茶碗の買取価格の相場は、10万円~30万円程度が一般的です。なかでも11代三輪休雪の作品が一番高く、60万円程度の買取価格実績があります。やはり代表的な技法である「休雪白」のスタイルを確立した10代・11代の作品が比較的12代・13代よりも高くなる傾向にあるといえるでしょう。また、萩焼は茶道の世界では有名で「一楽二萩三唐津」と言われているほど重宝されている焼物です。そのため、他の産地の焼物と比べて比較的買取価格の相場が高額になります。そのなかでも10代・11代三輪休雪は、「休雪白」のスタイルを確立しただけでなく、一般的な茶道具である茶碗・水差・茶入といった作品を数多く制作してきました。とりわけ買取価格が高額になりやすい11代三輪休雪の作品のなかでは「鬼萩茶碗」が最も人気が高いです。
一方で近年活躍している12代(2019年に隠居し、13代に名を譲っています)・13代三輪休雪の作品はコンセプチュアルなものが多いです。12代の作品は安価なもので3万円程度から、高価なものになると30万円程度とレンジが広くなります。現在活動している13代三輪休雪の作品はまだ市場に出回っている作品が少ないため、値段が定まりづらい傾向にあります。しかし、12代と比べると落ち着いた買取価格になる印象です。
三輪休雪の茶碗を高価買取してもらう方法
三輪休雪作品は骨董品市場で数多く出回っています。そのような中でも高く買い取ってもらえる方法を紹介します。ポイントとなるのは買取専門店の選び方や作品の状態、本物かどうか証明されているか、といった点です。買取品数が多い美術品買取専門店に依頼する
作品を高価格で買い取ってもらうためには、実績の高い専門店に買取を依頼することも大切です。さまざまな専門店があるなかで信頼性の高い専門店を見つけるのは難しいですが、買取の実績やGoogleの口コミを参考にすると良いでしょう。また、気になる専門店には自ら足を運んで、スタッフと会話をしたり、店の雰囲気やお客様への対応を見ながら「ここなら信頼できるな」という直感で選ぶのも大切です。獏では多くの作品の査定実績があります。買取に迷われている方はぜひ一度当店もご検討ください。
共箱・鑑定書の保存や綺麗に保つように手入れする
共箱、鑑定書があれば作品とともに提出することも高額買取のポイントとなります。鑑定書とは「美術業界や作家の関係者が設立した公的な鑑定機関が発行した、真筆の証明書」のことを言い、鑑定書を提出することで作品が本物であることを証明できます。本物かどうかが分からなくなると買い取る側も不安に感じてしまいます。鑑定書制度とは専門家のような深い知識が無い方も安心して本物の作品を購入できるようにと作られた制度で、美術市場の停滞を防ぐために存在しています。
三輪休雪の代表的な茶碗作品を紹介
ここでは、三輪休雪の代表的な茶碗作品である「萩茶碗」「萩茶盌」「愛の為に(ハイヒール)」「寧(ねい)」について紹介します。三輪休雪の特徴である「休雪白」の純白でふくよかな作風を感じることができます。十代三輪休雪(休和)「萩茶碗」
10代三輪休雪が制作した「萩茶碗」は、彼が開発した新しい釉薬「休雪白」を活かした作品となっています。こんがりと焼けたふくよかな茶碗の上品な丸みだけでなく、表面には波のような釉景を呈しています。茶をいただく際に、楽しむ側が飽きないようにビジュアルだけではなく手触りも細やかにデザインされたこの作品は、茶の場にぴったりだといえるでしょう。十一代三輪休雪(壽雪)「萩茶盌」
11代三輪休雪の制作した「萩茶盌」は、こんがりと焼けた表面の中で微細な色彩の変化をつけている作品です。高い造形力のある作品だといえるでしょう。卓越した化粧土や釉薬の技法であったり、胎土に含まれる砂礫などにより、茶碗の表面にニュアンスがでています。また、胴には力強いろくろ目がつけられており、シンプルながらに風格のある作品となっています。十二代三輪休雪(龍気生)「愛の為に(ハイヒール)」
12代三輪休雪が制作した「愛の為に(ハイヒール)」は、「休雪白」の特徴を活かしたハイヒールの萩焼作品となっています。純白なハイヒールは高潔な女性の象徴とも受け取れます。12代は茶碗や花器といった従来の萩焼作品ではなく、この作品のように「休雪白」を活かしたオブジェ作品を数多く残しています。また、彼の娘である三輪華子もまた陶芸家として作陶活動を行っており、父親同様革新的な萩焼のスタイルを追求しています。
十三代三輪休雪(和彦)「寧(ねい)」
現在活躍する13代三輪休雪が制作した「寧」は、奈良の薬師寺の東塔の基礎の土を用いて作られました。この土は1300年前の土で、無数の砂利が入っていたようです。大地のエネルギーをひしと感じさせるこの作品は、ろくろで作られているように茶碗の口がなめらかではありません。粗々とした作風が、土を活かした萩焼の良さを引き立てています。また、13代三輪休雪は先代が培った「休雪白」の新たな表現方法を模索しています。ダイナミックで斬新な作品が特徴です。
三輪休雪の茶碗は「山口県立萩美術館・浦上記念館」にて鑑賞可能
三輪休雪の作品は、山口県立萩美術館・浦上記念館で鑑賞できます。山口県立萩美術館・浦上記念館は萩市出身の実業家、浦上敏朗が収集した浮世絵や東洋陶磁などの寄贈により1966年に開館しました。同じ山口県萩市を名産地とする萩焼のコレクションもあり、三輪休雪もそのひとつとして収蔵されています。2021年には13代三輪休雪に関する展覧会が開催され、彼の躍動感あふれる作品が数多く展示されました。住所:〒758-0074 山口県萩市平安古町586-1
アクセス:
JR玉江駅から徒歩約20分
JR東萩駅からタクシー約7分
JR萩駅から萩循環まぁーるバス(西回り:晋作くん)約30分
萩・明倫センターから徒歩約5分、または萩バスセンターから徒歩約12分(市外・県外からの場合)
営業時間:9:00~17:00(入館は16:30まで可)
料金:
一般:300円(団体は240円)
学生:200円(団体は160円)
18歳以下は無料
※企画展観覧料は内容によって異なる
公式HP:https://hum-web.jp/
現・十三代目三輪休雪の略歴
ここでは現在活躍している13代三輪休雪について紹介します。11代三輪休雪を父として1951年に山口県萩市で生まれた彼は、20代の頃のアメリカ留学の経験から影響を受けたダイナミックな作品を制作しています。1951年:十一代三輪休雪(壽雪)の三男として山口県萩市に生まれる
13代三輪休雪は、1951年に11代三輪休雪の三男として山口県萩市に生まれました。11代三輪休雪は、壽雪といい、人間国宝にも認定された人物です。彼は1955年に作家として独立するまで30年もの間修行に勤めました。13代が生まれた当初はまだ11代として独立していない頃でした。また、11代三輪休雪は、1976年に紫綬褒章を、1982年には勲四等瑞宝章を受賞するなど、萩焼の代表的人物でもあります。
1975年:アメリカのサンフランシスコ・アート・インスティテュートに留学
13代三輪休雪は、1975年にアメリカのサンフランシスコ・アート・インスティチュートに留学しました。当時の彼はアメリカの色々なところに車一台で旅をしていました。そのような背景があり、彼の作品では萩焼といった和の一面だけでなく、西洋風の特徴も取り入れています。13代三輪休雪がアメリカ留学中に影響を受けたヒッピーやポップアートといったカオスなアメリカのカルチャーが、現在の作品に至るまで大きな影響を与えました。
1981年:日本に帰国後、「不走庵 三輪窯」にて作陶する
1981年には、13代三輪休雪は、日本に帰国後「不走庵 三輪窯」にて作陶を始めました。というのも、彼はアメリカでの衝撃が強く、帰国してもなかなか職につかずに3~4年ほどふらふらとしていたようです。そのようななかで山口県立美術館の当時の副館長らから声をかけられ、制作を開始することになります。13代三輪休雪のキャリアの初めのうちは茶碗ではなく、アメリカでの衝撃をそのまま作品にしていました。代表作としては1984年の「DEAD END」です。
2007年:日本陶磁協会賞を受賞する
13代三輪休雪は、その後も作品制作を続けていきます。これまでの三輪休雪や萩焼の伝統を覆す創造的な新たなスタイルの焼物を制作し、2007年には日本陶磁協会賞を受賞しました。また、茶碗や花器といった焼物も制作し、代表的には「雪嶺」といった花器のシリーズが挙げられます。土のオブジェとも言えるようなこの作品は、荒々しい土の素肌を見せるかのようにたくましい仕上がりになっています。
2019年:兄の龍作(龍気生)に代わり十三代三輪休雪を襲名
さまざまな活動を続けるなか、2019年には本格的に13代三輪休雪を襲名しました。これまでの11代三輪休雪のあとを継ぎ、代々革新的な萩焼を制作し続けていた同家のさらなる活躍が期待されています。さかのぼること初代三輪休雪は、「高麗茶碗」の写しばかりだった萩焼に新たな息吹を入れました。13代三輪休雪は、アメリカで感じた壮大な自然やカオスな文化を伝統的な萩焼にどう活かしていくのでしょうか。
三輪休雪の作品の特徴・世界観
ここでは、三輪休雪の作品の特徴や世界観について解説します。これまでの萩焼にはない「休雪白」が特徴で、茶の湯のみならず観賞用の陶芸として萩焼の地位を高めました。13代三輪休雪は新しい休雪白を追求しています。十代・十一代休雪が開発した「休雪白」が大きな特徴
10代・11代三輪休雪が開発した「休雪白」が大きな特徴となっています。「休雪白」とは、白萩釉という純白に焼き上がる釉薬を用いた萩焼のことです。白萩釉はわら灰を原料としており、唐津焼などの他の焼物でも用いられています。10代・11代三輪休雪は白萩釉を、焼成後まで厚く、かさが高く残るような調合に調整しており、そのため出来上がった焼物は、まるで降り積もった雪のように白くふくよかな仕上がりになります。
十三代休雪は「新たな休雪白」を追求している
13代三輪休雪は、10代・11代が開発した「休雪白」の新たなスタイルでの表現を追求しています。10代が確立した釉薬を、先代である11代がより洗練させました。13代三輪休雪は、独自のアメリカ留学経験で受けた衝撃などを作品に表現し、新たなスタイルの萩焼を表現しています。その代表作品として、「エル キャピタン」や「淵淵」といった作品が挙げられます。「淵淵」では、奈良県の薬師寺の基礎の土を用いて制作された作品で、大地のエネルギーである土がダイナミックに表現されています。
三輪休雪に関するトリビア(豆知識)
ここでは、三輪休雪に関するトリビアを紹介します。人間国宝に指定された10代・11代三輪休雪は実は兄弟であったり、12代三輪休雪の娘も陶芸家として活躍しているなど、三輪家は代々陶芸の道に通じた一家だとわかるでしょう。十代と十一代三輪休雪は陶芸界で初の兄弟で人間国宝となっている
三輪休雪の独自のスタイルである「休雪白」を確立した10代・11代三輪休雪は実は兄弟で、ふたりとも人間国宝に指定されました。そして、兄弟揃っての人間国宝は陶芸界では初の快挙となりました。11代三輪休雪は現在の13代の父ですが、30年にわたり修行を続けていました。その間兄は10代三輪休雪として活動をしていました。しかし、1967年に兄の隠居に伴い、11代として三輪休雪を襲名しています。
十二代目休雪(龍気生)の娘・三輪華子も作陶活動を行っている
11代三輪休雪の長男として生まれた12代三輪休雪は、萩焼のハイヒール作品など、現代性のある作品を数多く残しています。そして、彼の娘である三輪華子もまた陶芸家として作陶活動を行っています。三輪華子の世界観は「みらいさび」と呼ばれ、日本とヨーロッパの美意識の邂逅を表現しています。フランスで得たインスピレーションや、建築家と共に制作した茶室など、従来の陶芸の枠におさまらない作品を制作しています。
三輪休雪の茶碗作品は美術品買取専門店「獏」へご相談ください
三輪休雪は、江戸時代から始まる萩焼を制作する陶芸家の名跡です。10代・11代三輪休雪が「休雪白」という釉薬のスタイルを確立し、純白でふくよかな作品が特徴となっています。現在活躍する13代三輪休雪は、アメリカからの影響を受け、土の特徴を活かしたダイナミックな作品を制作しています。当店では現在三輪休雪作品の買取を強化しています。アート作品は価値の判断が難しいため、スタッフが念入りに査定いたします。また、陶芸作品だけでなく、茶道具や絵画など幅広く買取いたします。買取の流れや買取実績、ご不明点などございましたらお気軽にお問い合わせください。