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掛軸の表装とは?意味や種類を紹介

掛軸は日本の歴史ある文化の1つであり、現在も国内で広く親しまれています。
そんな掛軸には表装という技術が用いられていますが、それについてあまりご存じでない方も多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、表装という言葉の意味やその種類を紹介していきます。
掛軸の表装を詳しく知りたい方は、ぜひ当記事をご覧ください。

掛軸の表装とは?

布、紙などを用いて書や絵画を掛軸に仕立てる技術を、表装といいます。
表装を施す目的の1つが、書画のしわを伸ばして、より美しい状態で保管することです。
もし書画をそのままの状態で保管した場合、墨の水分によって紙が内側へ寄っていき、やがてしわができてしまいます。
しかし、本紙を布や紙で裏打ちして補強し、掛軸へと仕立てれば、しわの発生を防げます。
表装を施すことで、書画の色艶が保たれ、品質を長期間保つことができるのです。
また、表装を行う過程で、生地に対してさまざまな装飾が施され、劣化している部分には修理がなされます。
このようにして仕上がった掛軸は、装飾によって美しく飾られた、立派な鑑賞物となります。
掛軸の表装には、生地の保存状態を良好に保ち、鑑賞に適した見た目へと変える効果があるのです。
ちなみに、表装の技術は掛軸だけでなく、屏風や巻物などにも用いられています。


表装方法は大きく2種類

表装の方法は機械表装と伝統表装の2種類に分けられます。
1つ目の機械表装は、プレス機を用いて熱で貼り付ける方法です。
機械表装の場合、糊を乾燥させる必要がないため仕上がりまで時間がかからず、料金もリーズナブルです。
ただし、作業の際に熱や薬品によって生地が傷む可能性があるうえ、一度機械表装を行うと以後は仕立て直しを行えなくなります。

一方で、伝統表装は職人の手作業による表装です。
仕上がりに時間がかかり料金も高くなりますが、機械表装よりも品質が優れています。
職人が繊細な手作業を通して高品質な表装を施してくれるため、伝統表装は作品を長期間保存するのに適した方法です。

表具のはじまり

表装は表具という名前でも呼ばれますが、その技術は古代の中国から伝来したとされています。
10世紀から13世紀にかけて中国は宋王朝の時代を迎えており、国内ではすでに掛軸の技術が発達していました。
この宋時代の掛軸が鎌倉時代の日本に伝わり、表具のはじまりとなりました。
そうして日本へと伝来した表具の技術は、時代を経て室町時代にその様式が成立します。
室町時代では書院造の住宅が主流となっており、床の間に掛軸を飾って鑑賞する文化が広まったのです。
その後、安土桃山時代には、千利休の影響で茶席に掛軸を飾る文化が生まれます。
そして江戸時代になると、掛軸は庶民の間にも広まり、表具の形式も整っていきました。

表装の種類

掛軸に施される表装の様式には、さまざまな種類が存在します。
種類によって掛軸のデザインや表装の料金が異なるほか、格式の高さにも違いがあります。
各様式の名称と特徴について、詳しくは以下の内容をご覧ください。


丸表装

掛軸に施される表装の中では、丸表装(まるひょうそう)が最も一般的です。
丸表装はシンプルな様式となっており、本紙の上下に付いている一文字以外は、すべて同じ裂地で作られます。
簡素な構成なので、作品が持つ本来の良さが際立ちやすいです。


二段表装

一文字がない表装を、二段表装(にだんひょうそう)と呼びます。
二段表装は2種類の裂地から作られる構成で、中廻しには柄物が、天地には無地の裂地が使用されます。
また、風帯がなくあっさりとした見た目である点も、二段表装の特徴です。


三段表装

日本で生まれた大和表装の中でも特に人気なのが、三段表装(さんだんひょうそう)です。
二段表装に一文字と風帯を付けた構成となっており、天地・中廻し・一文字の三段に分かれている点が特徴です。
三段表装は豪華な見た目が魅力的な様式で、掛軸からは重厚感も漂います。


筋割表装

筋割表装(すじわりひょうそう)は丸表装とよく似た様式ですが、あちらと違って裂地に細い筋が入っています。
一文字以外が同じ裂地でできていて、細い筋によって現代的なデザインとなっている点が、筋割表装の特徴です。
また、風帯の部分も細い筋で作られています。


茶掛け

掛軸は茶道との関連が深く、そんな茶席での利用を想定して仕立てられたのが、茶掛け(ちゃがけ)という表装です。
茶掛けはほかの様式よりも、掛軸全体の形状が細長くなっています。
そのほか、サイズが小さいものや横に長い作品も、茶掛けに分類されます。


仏表装

仏表装(ぶつひょうそう)は、最も格の高い表装として知られています。
高価で美しい金襴緞子を用いた豪華なデザインが、仏表装の大きな魅力です。
御朱印譜や仏画などを、天地と柱、内廻し、そして二重の筋廻しで仕立てます。

掛軸の価値は表装の状態も大事なポイント

掛軸を買取に出す際は、作品に施された表装も重要なポイントとなります。
書や絵画だけでなく、本紙以外の表装自体の状態にも着目しましょう。
買取市場では、作品本体と表装の両方が査定の対象となります。
大きな傷みが有れば査定に影響がある場合があります。
査定で高額評価を得られるよう、表装の状態にも気を配ることが大切です。


表装は専門業者へ依頼を

掛軸の表装は、専門の業者へ依頼するのがおすすめです。
ただし、業者によってサービスの質は異なり、同じ価格帯でも出来上がりに差が見られることがあります。
業者選びで失敗しないよう、事前にしっかりと情報を確認しておきましょう。
また、前述したように、表装の方法は伝統表装と機械表装の2種類あります。
表装の品質を重視する場合は、伝統表装を選ぶのがベターです。
機械表装は安価な分、以後は仕立て直しを行えなくなり、作品の価値が下がってしまいます。
作品の価値を維持するためにも、経験のある専門の表具師に依頼するのが良いでしょう。

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まとめ

日本の伝統的な文化である掛軸は、表装という技術によって作られました。
表装によって仕立てられた掛軸の様式は、多岐にわたります。
また、見た目や格式の高さは掛軸の種類によって異なり、掛軸が持つ価値もさまざまです。
自宅に眠っている掛軸が思わぬ高値で売れることもありますので、掛軸の買取を検討されている方は、ぜひ美術品買取専門店の獏へご相談ください。
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