彼の作品は評価が分かれやすいため、買取価格も数万円から10万円程度と様々ですが、サイズと買取価格が比例しやすい傾向にあります。
島岡達三の作品の値段を現在の相場や評価をもとに紹介
島岡達三は、師匠の濱田庄司より「早く自分の個性あるものを」と言われていたため、他の陶芸家よりも個性あふれる作品が特徴的です。中でも組紐師の父の作る絹の組紐をヒントに縄目に白土を埋め込む「縄文象嵌」といった技法は彼の作品を特徴づけています。壺や皿、徳利、コーヒーカップ、そして茶碗などの多様な作品を残しており、縄文象嵌だけでなく様々な技法を使っているため、評価が分かれやすい作家となっています。買取価格は数万円から10万円以上と様々です。100万円以上となることは滅多にありません。ぐい呑みや小サイズの花瓶といった小型作品となると数万円程度が買取価格の目安となります。陶芸作品では、サイズと買取価格が比例しやすい傾向にあります。
島岡達三の代表作品(益子焼)を値段とともに紹介
ここでは、島岡達三の代表作品である「窯変象嵌縄文壺」「鐵砂釉象嵌草花文角平皿」「地釉縄文象嵌壺」「塩釉象嵌草花文徳利」「灰被縄文象嵌壺」を紹介します。島岡達三の作品の大体の相場がわかるかと思います。窯変象嵌縄文壺
窯変象嵌縄文壺とは、大きな壺状の作品です。島岡達三の自宅窯は、大口(窯の最も手前にある部屋)に続く部屋が1300度を超えた際に炭を入れ、強還元と炭化現象を人工的に作り出すのが特徴的です。所々で炭を被った形跡があるこの作品は、島岡家の窯の特徴を見事に捉えています。窯変象嵌縄文壺の買取相場は、オークションやメルカリではおよそ数万円程度となっています。市場では出回っている作品数が少ない傾向にあります。
鐵砂釉象嵌草花文角平皿
鐵砂釉象嵌草花文角平皿とは、草花が描かれた皿となっています。所々に島岡達三の作品の特徴である「縄文象嵌」が施されており、細やかに制作された様子をうかがえます。この皿の相場は数千円から数万円程度が目安となっていて、販売されている数は少ないのでオークションやセカンドマーケットの購入をおすすめします。地釉縄文象嵌壺
地釉縄文象嵌壺は、四耳壺で胴部分全面に粗目の縄文を施したのち、象嵌して地釉をかけています。地釉とは益子焼において並白と呼ばれる透明な釉薬のことです。島岡達三の作品の特徴である「縄文象嵌」がうかがえるほか、透明な釉薬が綺麗に施されているのがわかります。地釉縄文象嵌壺はオークションやメルカリでは数千円程度と、お手頃に購入できる価格帯で推移しています。
塩釉象嵌草花文徳利
塩釉象嵌草花文徳利では、島岡作品の特徴である縄目の徳利です。縄と縄の間には綺麗に色が入れられており、なかでも青い色彩が映えている作品といえるでしょう。益子焼の地の色と青の上品なコントラストを味わうことができる作品です。塩釉象嵌草花文徳利は、数万円程度でオークションやメルカリで購入できます。徳利というものの、日用品として使わずに保管程度であれば比較的高価で買取してもらえるでしょう。
灰被縄文象嵌壺
灰被縄文象嵌壺は、窯の灰を被った壺であることが特徴的で、炎と灰の膨大なエネルギーが作品からもうかがえます。窯変象嵌縄文壺でも紹介したように島岡達三の窯では独特の焼き方をするために、灰を被った形跡までもが作品となります。他の陶芸作品にはない、独特の生々しさや炎のエネルギーを感じることができる作品といえるでしょう。壺や皿、徳利だけでなく、島岡達三作品にはコーヒーカップや茶碗もあります。手頃で購入できるものから高価格帯まで様々です。
島岡達三の作品を査定してもらう際に高い値段をつけてもらうコツ
島岡達三作品はアートマーケットで数多く出回っています。そのような中でも高く買い取ってもらえる方法を紹介します。ポイントとなるのは買取専門店の選び方や作品の状態、本物かどうか証明されているか、といった点です。鑑定士が在籍している専門店で買取してもらう
買取に際して、様々な美術品買取専門店がありますが、専門店の選び方も大切になってきます。長きにわたって営業していたり、買取実績が豊富な専門店であれば信頼をおいても良いでしょう。また、専門店のオフィシャルサイトから店のブログをチェックすることで信頼性がさらに高まります。実際に専門店に足を運び、店員と話しながら信頼をおける店かどうか感覚で判断するのも良いでしょう。獏では国内外の数多くの作品を高額で、適切な価格で買取しています。電話やメールLINEでの査定も可能です。
作品の状態が悪くならないように適切なケアをする
高く買い取ってもらううえで大切なのは、作品が綺麗な状態であることです。たとえ模写や版画であったとしても、シミや汚れがある場合とそうでない場合とでは、買取価格が大きく変わります。そのため、作品の入手後は劣悪な環境で保管しないよう、温度と湿度の管理を徹底しましょう。また、物理的なリスクを伴うキズを作らないためにも、保管場所に余計なものを置かないことであったり、作品に触れる際に細心の注意を払うことも大切です。
箱や証明書などの付属品も大切に保管しておく
また、鑑定書があれば作品とともに提出することも高額買取のポイントとなります。鑑定書とは「美術業界や作家の関係者が設立した公的な鑑定機関が発行した、真筆の証明書」のことを言い、鑑定書を提出することで作品が本物であることを証明できます。本物かどうかが分からなくなると買い取る側も不安に感じてしまいます。鑑定書制度とは専門家のような深い知識が無い方も安心して本物の作品を購入できるようにと作られた制度で、美術市場の停滞を防ぐために存在しています。
島岡達三の略歴
島岡達三は、1919年に東京都で生まれました。1938年に日本民藝館を訪問したことをきっかけに民芸陶工の道を歩みはじめます。弟子入り後は一時期徴兵のため修行が途絶えましたが、終戦後より本格的に活動を開始しました。人間国宝にも認定され、死の寸前まで精力的に陶芸家として活動しました。1938年~1939年:高校時代に陶芸に興味を持ち、翌年に東京工業大学窯業科に入学
島岡達三は、1919年に現在の東京都港区愛宕の三代続いた組紐師の両親のもとで生まれました。1936年には元々は文系を希望していたものの、戦争といった背景もあり国では技術者が優遇されていたため、東京府立高等学校高等科理科に入学しました。そのような最中で、1938年に日本民藝館を訪れたことをきっかけに島岡達三は陶芸に興味を持ち、1939年には東京工業大学窯業科に入学します。元々彼には美術に関する知識はなかったものの、学んだ科学的知識を生かせる釉薬に特色がある陶芸への道を進むことになりました。
東京工業大学に在学中に先輩の濱田庄司に弟子入りし、民芸陶工の道の修行を積む
島岡達三は、濱田庄司や河井寛次郎の作品に触れ民芸の美に目覚めたほか、また柳宗悦の民芸論に触れたことで民芸陶工へ興味を持ちました。島岡達三が学んでいた東京工業大学とは、前身が東京高等工業学校でした。彼はその先輩の濱田庄司に弟子入りし、直接益子に向かいました。それ以降彼は民芸陶工で修行を積みます。東京工業大学所属中から彼は濱田庄司のもとで修行を積んでいましたが、大学3年の頃になると太平洋戦争が始まったために断念を余儀なくされました。
1941年~1946年:太平洋戦争で徴兵され捕虜収容所に入った後に復員した
島岡達三は、濱田庄司のもとで修行を積んでいる最中に太平洋戦争へ徴兵されました。1942年には入隊し、1943年にはビルマにて出征しました。終戦を無事に迎えたものの、タイの捕虜収容所で過ごすことになり、1946年に復員しました。その後は両親と共に益子へと移住して、再び濱田庄司のもとで修行を重ねることになります。濱田庄司の修行では、益子焼の作り方だけでなく、人生論といった精神的なことまで学んだようです。
1953年:栃木県立窯業指導所を独立し「縄文象嵌」を磨いていく
島岡達三は、濱田庄司のもとでの3年もの修行ののち、彼の紹介で栃木県立窯業指導所に技師として入所しました。そこでは粘土や釉薬について徹底的に研究を重ねました。その一方で濱田庄司について全国各地の博物館や大学に赴き仕事を手伝うなかで、彼の縄文への興味が膨らんでいきました。島岡達三は、1953年には同指導書から独立し、濱田邸の隣に開窯します。当初の彼は濱田庄司と同じような作風で制作活動を始めましたが、次第に彼独特の「縄文象嵌」の技法を修得していきます。
1996年:重要無形文化財「民芸陶器(縄文象嵌)」の保持者(人間国宝)として認定された
島岡達三は、その後も日本だけでなく世界各国で個展や出品、視察や作陶指導を行い、そのほかには益子焼の普及を目的として取材に応じたり、論文や書籍を残しています。1964年以降はさまざまな賞を受賞し、1996年には重要無形文化財の保持者として認定されました。そして、1999年には勲四等旭日小綬章を受賞しています。島岡達三は2007年に亡くなりましたが、病に倒れたのちも病床で陶芸作家である孫にメモを届けるなど、世を去る寸前まで陶芸家として精力的に活動していました。
島岡達三の世界観
島岡達三の作品の特徴としては、「縄文象嵌」が挙げられます。彼は師匠である濱田庄司の元で修行を積み重ね、彼と同行して仕事を手伝うなかで縄文への興味を示すようになりました。縄文とは縄の文様といった意味で、まさしく縄文象嵌とは組紐を使って作品に網目模様を施し、そこに異なる色の土をはめ込む技法を言います。この技法では、作品が半乾きの状態で組紐を転がして模様をつけ、凹んだ部分を含めて全体に異なる色の化粧土を塗って、乾燥させたあとに表面を薄く削り取ります。この技法により島岡達三は人間国宝として認定されました。
しかし、島岡達三は縄文象嵌のみならず様々な技法を作品で施しています。その例として白い窓絵を設けて中に赤絵で描画する技法が挙げられます。師匠の濱田庄司の技法である「塩釉」といった技法も取り入れており、様々な技法で作品を残しました。
島岡達三の作品が鑑賞可能な美術館
島岡達三の作品は、彼ゆかりの地である東京工業大学博物館、益子陶芸美術館にて鑑賞可能です。彼に関する作品が所蔵されているだけでなく、民芸陶工についてさらに詳しく知りたい方にとっておすすめの美術館です。東京工業大学博物館
東京工業大学博物館は、東工大の教育や研究の歴史的な成果について詳しく見ることができる博物館です。大学に名を残した著名人の作品や研究が残されており、それらを鑑賞できます。住所:〒152-0033 東京都目黒区大岡山2-12-1
アクセス:
東急目黒線・大井町線大岡山駅より徒歩1分
営業時間:月~金 10:30-16:30
料金:無料
公式HP:http://www.cent.titech.ac.jp/index.html
益子陶芸美術館
益子焼の産地である益子では、益子焼に関する代表的な陶芸作家の作品が展示されています。勿論その一人である島岡達三の作品も展示されています。住所:〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町益子3021
アクセス:真岡鉄道益子駅より徒歩
営業時間:
2月~10月 9:30~17:00(入館は16:30)
11月~1月 9:30~16:00(入館は15:30)
料金:
一般:600円(団体は550円)
公式HP:http://www.mashiko-museum.jp/index.html
島岡達三に関するトリビア(豆知識)
ここでは島岡達三に関するトリビアを紹介します。彼は益子焼の作家としてだけでなく、取材に応じたり、論文や書籍を残したほか、テレビにも出演していました。ほかには彼の弟子も数多くいて陶芸家として活躍しています。益子焼の普及に努め、取材に応じたり、多数の論文・書籍を残した
島岡達三は、益子に移住して濱田庄司のもとで修行を重ねて独立したあと、作品を制作するだけでなく様々な活動をしていました。日本だけでなく世界各国で個展や出品、視察や作陶指導を行い、そのほかには益子焼の普及を目的として取材に応じたり、論文や書籍を残しています。1996年にはNHK教育テレビ番組「趣味百科」の「陶芸に親しむ」に講師として出演するなど、テレビ番組でも活躍しています。
100名近くの弟子を国内外から受け入れていた
島岡達三は100名近くの弟子を国内外から受け入れていました。彼の代表的な弟子としては、孫にあたる島岡桂がいます。彼は島岡達三の死の直前まで、病床の達三からのメモをもとに作品制作を行っていました。達三の死後も「島岡製陶所」を引き継いで二代目当主となりました。そのほかには弟子の黒田泰蔵も陶芸家として活躍しています。彼が他の弟子と異なるのは初期のキャリアの大半をカナダで培ったという点です。海外で陶芸に興味を持ち、日本に帰国して白磁作品を中心に制作していました。
獏では島岡達三の作品など骨董品を高価格で買取中
現在獏では島岡達三の作品などの骨董品を高価格で買取しております。骨董品は美術作品と異なり、作家という概念が希薄になりやすいジャンルです。しかし、獏では作品を見る目と適切な販売経路から作品ごとに最適な金額をご提案いたします。獏の骨董品の買取価格の評価・査定方法
骨董品の価格は、ほぼ需要と供給の関係で決まるため、美術と違って欲しい人がいればその分買取価格が高額になります。また、作品の希少性も高額買取に大切なポイントとなります。比較的新しい作品は材料費や人件費等の経費から販売価格が算出されますが、古い作品になると二次流通では仕入れ値自体が相場に反映されて決定されるために、値段の決定方法が通常の場合と異なります。骨董品では作品自体の価値や状態のほか、需要と供給も買取価格に加味されます。
獏の骨董品買取価格の設定方法
獏は日々鮮度が高い情報を仕入れてダイレクトに買取価格へ反映しています。また、幅広い流通経路を構築することで高価買取できる方法を模索しております。骨董品には美術作品のようなわかりやすい買取基準がなく、専門店ごとに買取価格が異なるのが現状です。そのために相場が不安定になりがちなジャンルでもあります。オークションなどで素人が出品するには価値判断は難しいかと思われます。骨董品をどこで買い取ってもらうかお悩みの方はぜひ一度獏へお越しください。
島岡達三の作品の値段は美術品買取専門店「獏」にご相談ください
島岡達三は、東京都で生まれ、陶芸に興味を持った末に濱田庄司に弟子入りして陶芸家として活躍しました。作家としてのみならず益子焼の普及に努め、書籍や論文を数多く残しています。また、国内外に数多くの弟子がいることから、島岡達三のDNAを受け継いだ作品が今なお制作されているとも言えます。当店では現在島岡達三作品の買取を強化しています。アート作品は価値の判断が難しいため、スタッフが念入りに査定いたします。また、陶芸作品だけでなく、茶道具や絵画など幅広く買取いたします。買取の流れや買取実績、ご不明点などございましたらお気軽にお問い合わせください。