BLOG

ボーンチャイナとは?意外と知られていない磁器との違いやその歴史を解説します!

ボーンチャイナとは?

焼き物が好きな方なら「ボーンチャイナ」という言葉もご存知でしょう。

でも、ボーンチャイナがどういうもので、どうしてそう呼ばれているのか、というところまで知っている方は少ないかもしれません。

今回は、ボーンチャイナがいつ、どこで、どのように作り出されたのか、そしてほかの陶器や磁器との違いなどについて、専門家の立場から詳しくご説明します。

また、よく知られているボーンチャイナのメーカーについても紹介しますので、食器選びの際の参考にしてください。



ボーンチャイナの誕生

「シノワズリ」への憧れ

「シノワズリ」とは、17世紀後半から19世紀前半にかけて起きたヨーロッパ的な中国趣味のブームです。

このシノワズリを背景に中国製の磁器、中でも白さが際立つ白磁器が人気となり、貴族や王族のあいだで中国製の白磁器を所有していることが一種のステータスともなりました。

磁器は中国で生まれ、13世紀ごろにヨーロッパに伝わったとされています。しかし、その製法まではわかっておらず、手に入れるには輸入するしかありませんでした。磁器を「china」とも呼ぶようになったのも、白磁器への強い憧れゆえだったのかもしれません。


乳白色の「ボーンチャイナ」が誕生

ヨーロッパで初めて磁器が制作されたのは1710年。伊万里焼のコレクターでもあったザクセン選帝侯アウグスト2世の命により錬金術師ベトガーが研究を重ね、ドイツ・マイセンにおいて白磁器の制作に成功します。

その製法は極秘とされましたが、やがてヨーロッパ全土に広まり、イタリアやフランスなどでも磁器が作られるようになりました。

蚊帳の外に置かれたのがイギリスでした。白磁器の原料として欠かせない「カオリン」という粘土がイギリスでは入手できなかったためです。

そこで版画家で肖像画家でもあるフライが、動物の骨を焼いて灰にしたものを混ぜて焼く手法を考案。透光性の高い乳白色の磁器の制作に成功します。

これが骨=boneを使った磁器=china、つまり「ボーンチャイナ」のはじまりです。


ボーンチャイナと白磁器の違い

まず「磁器」とは?

「石もの」とも呼ばれる磁器は、陶石を砕いた粉に粘土を加えて作ります。陶石に多く含まれる珪石や長石が高温で焼くとガラス化するため、素地は硬く引き締まっていて、光をとおす性質(透光性)もあります。

ボーンチャイナは磁器の一種ですが、粘土であるカオリンが手に入らなかったため牛の骨の灰を使っています。そのため、一般的な磁器とは焼き上げる温度や使える釉薬の種類なども異なります。結果、焼き上がりの色味に違いがあるほか透光性や強度にも差があります。

骨灰で作られた磁器なので「Bone China」

上でも書きましたが、ボーンチャイナは骨を使って作られた磁器です。骨を焼いてできた灰を原料に使うことから「骨灰(こっかい・こつばい)磁器」と言います。

骨に含まれる鉄分が多いと焼き上がりが黒ずんでしまうため、ボーンチャイナには鉄分が少ない牛の骨が使われます。

なお、使用する骨灰の量には決まりがあり、JIS規格では骨灰の主成分であるリン酸カルシウムの含有率が30%以上と定められています。ちなみに、イギリスでは35%以上、アメリカでは25%以上というふうに国によっても違いがあります。

焼成方法の違い

ボーンチャイナと白磁器とでは焼成する温度や、焼く際の炎も異なります。

焼き上がりの色味は、リン酸カルシウムの量や炎に含まれる酸素の量にも大きく左右されます。

磁器は酸素をあまり含まない炎を使うのが一般的で、1300度程度の温度で焼成します。白磁器特有のやや青みを帯びた硬質な白色になるのはこのためです。

それに対して、ボーンチャイナは酸素を多く含んだ炎を使い、1000〜1200度程度のやや低い温度で焼成します。ボーンチャイナがわずかに黄色みを帯びたやさしい白色なのは、酸素を多く含む炎で焼き上げるからです。

透光性の高さと、強度が違う

白磁器もボーンチャイナも2回焼成をおこないます。白磁器は1回目の素焼が800度程度、本焼成となる2回目は1300度程度です。

一方のボーンチャイナは1回目の素焼きが1250度程度、釉薬をかけて焼く釉焼と呼ばれる2回目は1000〜1150度程度。この違いによってより緻密な構造になるため、普通の磁器の約2倍の強度になるうえに透光性も高まるのです。

また、焼成温度が高いと色あせてしまう顔料もあって、磁器には適さない釉薬もあります。その点、低い温度で焼くボーンチャイナは、磁器に比べてより華やかな彩色が可能となっています。



有名なボーンチャイナのメーカー

ノリタケ

1904年に日本陶器として創業したノリタケは日本でもよく知られていますが、海外での人気が非常に高い老舗です。

1914年には日本で初めてディナーセットを完成。日本製の洋食器が欧米で人気となりました。このころの製品は現在「オールドノリタケ」「アーリーノリタケ」と呼ばれ、内外のアンティークファンに愛されています。

そして1932年、日本初のボーンチャイナの制作にも成功。以降も料理が映えるバランスのいい「白さ」にこだわって、さまざまな製品を販売しています。

ナルミ

ノリタケと並んで日本を代表するテーブルウェアのブランドです。扶桑金属工業鳴海製陶所としての創業は1946年ですが、ルーツは1911年に発足した帝国製陶所にさかのぼります。

1965年、当時はまだ大量生産がむずかしかったボーンチャイナの量産化に成功。世界でもトップクラスの骨灰含有率とすることで、高い強度と透光性を実現する技術力も特徴です。

また、光を反射しやすいフリット釉による鮮やかな発色も人気となっています。


ウェッジウッド

1759年に創業されたイギリスを代表する磁器のブランドで、長い歴史とともに世界的に高い人気と知名度を誇ります。

イギリス王室からの命を受けてエナメルを用いた陶器を製作。「クイーンズウェア」という名を贈られ、王室御用達となりました。

ウェッジウッドが本格的にボーンチャイナを手がけるようになったのはジョサイア・ウェッジウッド2世が2代目社長となった1800年代後半のこと。代表作ともなっている「ソーラー」は骨灰を50%以上使ったファインボーンチャイナとしても知られています。

ロイヤルウースター

イギリス最古の磁器メーカーとしての歴史を持つロイヤルウースターは1751年に創業しました。1789年には国王ジョージ3世から王室御用達を意味する「ロイヤル」の称号を獲得。1800年ごろにはボーンチャイナの生産にも成功しています。

熟練のペインターが一点一点手作業で絵付けする「ペインテッドフルーツ」は、6回の焼成に加えて10時間以上の研磨工程を惜しまずに生み出された最高級の工芸品として非常に高い評価を得ています。


ロイヤルドルトン

ジョン・ドルトンとジョン・ワットによって1815年に誕生し、息子のヘンリー・ドルトンが蒸気機関を使って生産効率を向上させたことで急成長。その後、ボーンチャイナも手がけるようになり、1878年のパリ万博では出品作品がグランプリを受賞しています。

1887年に陶磁器業界では初めてナイトの称号を授かり、さらに1901年にはロイヤルの称号を授与されました。

ボーンチャイナの温かみのある白を活かした品格の高い作風が特徴で、テーブルウェア以外にも人形やプレートなどさまざまな製品を販売しています。



ボーンチャイナを売りたいときは?

西洋食器も幅広く取り扱っております

美術品買取専門店「獏」では、国内外のボーンチャイナをはじめ、西洋陶器・磁器も広くお買い取りさせていただいております。

西洋陶器・磁器は日本のものと違って箱がなくても問題ありませんが、やはり欠けやヒビは査定に影響する場合があります。

獏ではお客様のご都合に合わせてお選びいただけるよう、「出張買取」「店頭買取」「郵送・宅配買取」の3つの方法を用意しています。

以下、それぞれの違いや利点についてご紹介します。

様々な買取方法に対応しています

「出張買取」は専門の鑑定士がお客様のご自宅等を訪問し、ご希望の品物を確認して査定する方法です。

東京・大阪・福岡の各店舗のお近くにお住まいであれば、店頭にお越しいただいてその場で確認、査定する「店頭買取」もご利用いただけます。

また、遠方のお客様には、品物を各店舗に送っていただく「郵送・宅配買取」も用意しています。

いずれの場合も経験豊富なスタッフがしっかりと対応いたしますのでご安心ください。

なお、出張費や郵送・宅配の送料は無料です。また、査定金額にご納得できない場合はお断わりいただいてもかまいません。まずは電話・メール・LINEにてお気軽にお問い合わせください。

まとめ

今回は中国への憧れから生まれたヨーロッパの磁器、気品のある白さの鍵となるカオリンが入手できないイギリスで発明されたボーンチャイナについて紹介しました。

ボーンチャイナ製品は現在も多くのメーカーが製造・販売をおこなっていますが、時代の古いものは工芸品・骨董品として高値で取引きされる場合もございます。

もし、お手持ちのボーンチャイナの売却をご検討の際には、美術品買取専門店「獏」にお声掛けください。値打ちがあるかどうかわからないという場合にも、経験豊富なスタッフが適切に査定いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

顔出しバナー