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知っていますか?「陶器」と「磁器」の違い

陶器と磁器って何が違うの?


一言に美術品といってもさまざまな種類があり、陶磁器もその1つです。
陶磁器とは陶器と磁器をまとめて呼ぶ呼び方ですが、陶器と磁器は全くの別物です。
しかし、詳しい知識がない人からすると陶器と磁器にはどういった違いがあるのかわからいことがほとんどです。
では、陶器と磁器にはどういった違いがあるのでしょうか。
この記事では、陶器と磁器の違いから見分け方、主な陶器と磁器の産地を紹介していきます。

陶器とは?土の風合いが魅力


陶器は全体的に厚みがあり、窯で焼くと土の風合いが出てくるのが特徴です。
また、原料に陶土を使っていることもあり、陶器のことを「土物」と呼ぶ場合もあります。
使っている陶土の産地によって含まれている成分や性質が異なるため、産地によって色など見た目に大きく影響してくるのも面白いところです。
陶器は窯で焼く前に釉薬を塗るため、吸水性が高いものの水を通すことはありません。
陶器の表面を触ってみるとざらざらとした感触で、和の雰囲気を出したいときに使うと有効的です。
さらに、陶器は保温性が高く、アツアツの料理などを入れても外はそれほど熱くならないことがありません。

磁器とは?透明感と鮮やかな色彩が魅力


磁器は原料として陶石を使っているため、「石もの」と呼ばれることもあります。
触った質感はガラスのようななめらかな質感をしていて、陶器と比べて丈夫で割れにくいです。
また、陶器と比べて薄い作りをしていて透明感があり、さまざまな色で絵付けされていることが多いため鮮やかな色彩が魅力です。
他にも磁器は陶器と比べて扱いやすく、お手入れなどに気を使う必要がありません。

陶器と磁器の原料と製造方の違い


陶器と磁器の違いは、原料や製造方法が大きく異なることが関係しています。
では、陶器と磁器の原料、製造方法の違いにはどういったものがあるのでしょうか。
続いては、陶器と磁器の原料の違いと、製造方法の違いについて解説していきます。

陶器と磁器の原料の違い


そもそも、陶器と磁器は全く違う原料を使って作られています。
陶器に使われている原料は粘土が50%、珪石40%、長石10%含まれているのに対して、磁器に使われている原料は珪石40%、長石30%、粘土30%含まれています。
陶器に使われている原料は粘土が主成分なのに対し、磁器は珪石が主成分のため焼き上げるとガラスに近い感じになります。

陶器と磁器の製造方の違い


陶器と磁器は使う材料が異なるため、使う釉薬や窯で焼く温度も異なります。
陶器に使う原料は土を掘り出したあとに細かく砕いて乾燥させ、そこに水を加えて粘土状にしています。
対して、磁器に使う原料は掘り出した石を砕き、水を加えて粘土状にしています。
粘土状になったものを成形して、窯で焼くまでの工程はほぼ同じです。
しかし、窯で焼く温度は大きくことなり、陶器は800℃から1300℃ぐらいの温度帯で焼き上げます。
対して、磁器は1200℃から1400℃ぐらいの高温度帯で焼き上げます。

陶器と磁器の見分け方


ここまで陶器と磁器の違いについて解説してきたとおり、陶器と磁器は使われる原料も焼き方も、特性も大きく異なります。
そのため、陶器と磁器の見分けはポイントを掴めば簡単にできます。
陶器と磁器を見分けるポイントは、質感と熱伝導率です。

陶器・磁器の質感


陶器と磁器は質感に大きな違いがあるため、基本的に質感をみれば判断可能です。
陶器は表面がザラザラとした質感をしているのに対し、磁器の表面はかなりツルツルした感触になっています。
また、陶器と磁器を光にかざしてみると陶器は透光性がないため光を通しませんが、磁器は透光性があるため光を通します。
さらに、陶器は吸水性があるものの、磁器は吸水性がありません。
こういった質感を見ることによって、陶器と磁器の見分けができます。

陶器・磁器の熱伝導率


陶器と磁器は熱伝導率が異なるため、熱伝導率を確認することでそれが陶器なのか磁器なのかを判断できます。
まず、陶器は細かい穴が多く含まれています。
その小さな穴の中にある空気が断熱材の役割をしており、陶器は熱が伝わりにくいです。
対して、磁器は使う原料にガラス質を多く含んでいるため、熱が伝わりやすいです。
そのため、お椀などであればそこにあたたかいお湯などを入れて熱が伝わっているかどうかで判断してみてください。

陶器と磁器の取り扱いの違い


陶器は購入後「目止め」という作業を行ってから使うときれいな状態で長く使えます。
お米のとぎ汁の中に陶器をひたして、弱火で20分程度弱火で煮沸しコーティングすることを目止めと言います。
吸水性のある陶器はシミやにおいなどが付きやすく、この目止めを行っておくことで陶器の隙間や穴を塞いでくれるため汚れなどがつきにくくなるのです。
煮沸し終わったらそのまま自然冷却し、よく洗って乾燥させてから使用してください。
また、吸水性の高い陶器に関しては、洗った後必ずしっかりと乾燥させるようにしてください。
特に、長期間使用せず保管する場合はカビが付着する原因になってしまいます。
電子レンジでの使用も注意が必要で、磁器は電子レンジ対応のものが多いですが、陶器はひびや欠けの原因になってしまうため使用は避けたほうが無難です。
そして、保管するときはできるだけ陶器と磁器を重ねて収納しないようにしてください。
陶器は時期と比べると柔らかく、磁器と陶器を重ねて収納しようとすると陶器に傷が入る可能性が高まります。
収納場所がなく重ねるしかない場合はペーパーを間にかませて重ねるようにします。
上絵付きの陶磁器は非常にデリケートなため、使用後洗うときはやわらかめのスポンジを使うことがポイントです。

産地で比べる陶器・磁器


日本は昔から各地で盛んに陶器や磁器が生産されており、さまざまな窯元があります。
陶磁器は産地によって違った特色を持っているのも特徴です。
続いては、陶磁器の有名な産地を陶器と磁器に分けて紹介していきます。
ただし、場所によっては陶器も磁器も両方生産している産地もあります。

代表的な陶器の窯元


陶器の代表的な窯元といえば、益子焼、備前焼、萩焼、信楽焼が挙げられます。
益子焼は国の伝統工芸品に指定されており、栃木県益子町で生産されています。
このエリアの土は気泡を多く含み細工には向かない土質のため、厚めの作りになっているのが特徴です。
また、窯で焼くと黒っぽい色に仕上がる土の性質があるため、独自の釉薬を塗って白化粧させている特徴もあります。
備前焼は岡山県備前市周辺で生産されている焼物で、陶器というよりもせっ器に近いです。
この地域で採れる「ひよせ」と呼ばれる粘土を使っていて、釉薬をかけたり絵付けを行ったりといった作業を行わずに焼き上げられます。
粘土そのものの味わいが出るため、全く同じものは出来上がりません。
萩焼は山口県萩市とその周辺で生産されている陶器です。
萩焼の原料はこの地域で採れる「三島土」「金峰土」「大道土」という3種類の土をブレンドして使われています。
また、萩焼は窯で焼くときに低温でじっくりと焼くため、土が焼き閉まってなく使っているうちに釉薬の表面に細かなヒビが入ります。
そして、使っていくうちにそのヒビにお茶などが染み込み色合いが変化するのも萩焼きの楽しみ方の1つです。
信楽焼は滋賀県甲賀市信楽町周辺で生産される陶器で、鎌倉時代から生産されていると言われています。
特に、安土桃山時代には多くの茶人に愛され、信楽焼の茶の湯の道具は非常に人気がありました。
信楽焼の一番の特徴は、窯で焼くときに自然にできる「窯変」と呼ばれる模様です。

代表的な磁器の窯元


磁器の代表的な窯元といえば、有田焼、波佐見焼、丸谷焼、瀬戸焼が挙げられます。
有田焼は日本で初めて作られた磁器と言われており、佐賀県有田町周辺で生産されています。
絵具を使って白い磁肌に色付けを行った色絵が代表的な特徴で、他にも透明な釉薬を使う「白磁」などさまざまな表現方法があるのも有田焼の特徴です。
丈夫で扱いやすく、最近では洋食にも合うようなデザインの有田焼も販売されています。
波佐見焼は長崎県波佐見町で生産されている陶磁器で、美しい白磁に藍色で絵付けされているのが特徴です。
富裕層向けというよりは庶民向けの器として昔から生産されており、くらわんか碗はその代表例です。
丸谷焼は石川県で生産されている磁器で、陶器も生産を行っています。
伝統ブランドとしての地位を確立しており、宮内庁の贈答品として丸谷焼が使用されています。
丸谷焼の一番の特徴は鮮やかで大胆な色絵で、この色絵は「九谷五彩」と呼ばれる和絵具を使って描かれています。
瀬戸焼は愛知県瀬戸市周辺で生産されており、「せともの」と呼ばれることもあります。
瀬戸焼の磁器は中国の青磁や白磁のようなきれいない素地が特徴です。
この地域で陶磁器の生産が始まったのは鎌倉時代と言われており、歴史ある産地のうちの1つです。

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まとめ


今回は、陶器や磁器の違い、見分け方、取り扱い方法などを紹介してきました。
陶器も磁器も焼物という点では同じですが、使う原材料や窯で焼く温度がことなるため、陶器と磁器はそれぞれの特徴を持っています。
全国各地にさまざまな窯元があり、さらに、作られた時代によっても違いがあるため、陶磁器の世界は非常に奥深いです。
もし、陶磁器を持っていて、売却を検討している方はぜひ美術品買取専門店の獏へご相談ください。

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