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代表作「二菩薩釈迦十大弟子」を初めとする仏教を取り扱った作品で広く知られる棟方志功は、20世紀の日本を誇る版画家です。1956(昭和31)年にはヴェネツィア・ビエンナーレで国際版画大賞を受賞し、「世界のムナカタ」として国際的に高く評価されるようになりました。
実際にボストン美術館やパリ・リュクサンブール美術館などの欧米の著名な美術館が棟方志功の作品を買い上げており、国際的な評価の高さは日本以上ともいえるかもしれません。
版画のことを「板画」と表現した棟方志功は、木の性質を活かして木の魂を彫り出す気持ちで作品制作にあたりました。今回は、作品制作に真摯に向き合い日本における版画の地位を向上させた棟方志功の略歴や、作品を所蔵している美術館などについて解説します。
1903(明治36)年、棟方志功は青森県青森市大町(現在の青森市安方2丁目)に生まれました。
刀鍛冶職人である父棟方幸吉と、母さだの間の3男第6子として生まれた棟方志功は、少年時代にゴッホの絵画に出会い、「わだばゴッホになる(私はゴッホになる)」と言って芸術家を目指すようになります。
1924(大正13年)、21歳で上京した棟方志功は、帝展や創立されたばかりの白日会展などに油絵を出品します。初めのうちは落選が続きましたが、4年後に帝展に出品した『雑園』で入選を果たしました。その後、棟方志功は版画の魅力に目覚めて1931年には初の版画集『星座の花嫁』を刊行し、1932(昭和7)年には日本版画協会会員となりました。
1936(昭和11)年、棟方志功は佐藤一英の詩『大和し美し(やまとしうるわし)』の影響を受けて制作した作品『瓔珞譜(ようらくふ)大和し美し版画巻』を国画展に出品し、大きな注目を集めました。これを機に柳宗悦(やなぎむねよし)、河井寛次郎らの民芸運動家(日用品の中に「用の美」を見出し、無名の職人による民衆的美術工芸の美を発掘することに努めた人々)との交流が始まります。
1945(昭和20)年、棟方志功は戦時疎開のために富山県西礪波郡福光町(とやまけんにしとなみぐんふくみつまち。現在の南砺市)に移住し、真宗大谷派寺院「光徳寺」に身を寄せます。その際棟方志功は富山県の自然豊かな環境に魅了され、多くの作品を残しました。
1951(昭和26)年、疎開先から東京都杉並区荻窪に転居します。1956(昭和31)年にはヴェネツィア・ビエンナーレに『二菩薩釈迦十大弟子』『柳緑花紅頌(りゅうりょくかこうしょう)』などを出品、日本人として初の国際版画大賞を受賞しました。「世界のムナカタ」の誕生です。また、1969年(昭和44)年には青森市から初代名誉市民賞を授与され、翌年には文化勲章も受章しています。
1975年(昭和50年)9月13日、棟方志功は肝臓がんのために72歳でこの世を去りました。青森市の三内霊園には、ゴッホの墓を模して作られた棟方志功の墓「静眠碑」があります。
青森市にある棟方志功記念館は、棟方志功の文化勲章受章を讃えて1975(昭和50)年に開館しました。2012(平成24)年に鎌倉市の棟方板画館を吸収合併しており、所蔵作品はますますの充実を見せています。
校倉造りを模した趣のある建物では、代表作『二菩薩釈迦十大弟子』を初めとするダイナミックな板画のほか、繊細な表現を見せる倭画やゴッホに憧憬した油絵などの作品を鑑賞できます。また、板木を含む関連資料なども幅広く紹介しているため、棟方志功の画業を深く学ぶことが可能です。棟方志功のファンなら一度は訪れたい美術館といえるでしょう。池泉回遊式の美しい日本庭園も見どころです。
・名 称:棟方志功記念館
・営業時間:9:00~17:00(4月~10月)/9:30~17:00(11月~3月)
※月曜日(祝日及びねぶた祭り期間8/2~8/7は開館)と年末年始は休館
・料 金:一般550(450)円/学生(専門含む)300(200)円/高校生200(100)円/小・中学生無料
※( )内は20人以上の団体料金
・住 所:〒030-0813 青森市松原2丁目1番2号
・電話番号:017-777-4567
・公式HP:https://munakatashiko-museum.jp/
青森県の椿館は、棟方志功や太宰治に愛された青森県の老舗温泉宿です。平安時代の終わり頃に開湯したといわれる歴史ある「浅虫温泉」の源泉かけ流しや手作りの郷土料理を楽しめます。明治9年には明治天皇も椿館へ宿泊されました。
1階ロビーに展示してある棟方志功の『親子鯉の屏風』は、真ん中に描かれた子どもの鯉をお父さん鯉とお母さん鯉があやしているところを描いているのだそうです。椿館には「親子鯉」の絵を用いた浴衣もあります。
・名 称:棟方志功ゆかりの宿 浅虫温泉 椿館
・住 所:〒039-3501 青森県青森市浅虫字内野14
・電話番号:017-752-3341
・公式HP:https://810215.com/
青森県立美術館では、隣接する三内丸山遺跡から発想を得たユニークな建物で、棟方志功、関野凖一郎、奈良美智などの個性溢れる郷土作家のコレクションを鑑賞することができます。
棟方志功の描いた初期の油彩画『八甲田山麓図』や、木版画『勝鬘譜善知鳥版画曼荼羅(しょうまんふうとうはんがまんだら)』、晩年に描いた木版画の大作『花矢の柵』などを所蔵しています。
・名 称:青森県立美術館
・営業時間:9:30~17:00(最終入館は16:30まで)
※毎月第2、第4月曜日 (この日が祝日の場合は、その翌日)と年末年始は休館
・料 金:一般510(410)円/高校・大学生300(240)円/中学生以下無料
※( )内は20人以上の団体料金
・住 所:〒038-0021 青森市安田字近野185
・電話番号:017-783-3000
・公式HP:http://www.aomori-museum.jp/ja/
ここでは棟方志功の代表作品のひとつ『梨牟醐華妃神の柵』や、『秩父夜祭の柵』、『善知鳥双妃図』、『赤鬼図』、『青鬼図』などを観ることができます。
・名 称:やまとーあーとみゅーじあむ
・営業時間:10:00~16:00
・料 金:一般700(600)円/高校・大学生500(400)円/小・中学生300(200)円
※( )内は10人以上の団体料金
・住 所:〒368-0023 埼玉県秩父市大宮6175-1(羊山公園内)
・公式HP:http://www.chichibu.ne.jp/~yamato-a-t/index.html
南砺市立福光美術館は、世界文化遺産の五箇山合掌造り集落があることで有名な富山県南砺市にあります。また、南砺市は戦時中の棟方志功の疎開先でもありました。
南砺市立福光美術館では、棟方志功の代表作『二菩薩釈迦十大弟子』や『沢瀉妃の柵(おもだかひのさく)』のような板絵の他、棟方志功の手による書や肉筆画である倭絵も所蔵しています。分館の棟方志功記念館「愛染苑」では、疎開中に制作した作品を中心に展示しています。
・名 称:南砺市立福光美術館
・営業時間:9:00~17:00(最終入館は16:30まで)
※火曜日・年末年始(12/29~1/3まで)と展示替期は休館
・料 金:一般310円/高校・大学生210円/小・中学生無料
※20人以上での観覧で団体料金として2割引き
・住 所:〒939-1626 富山県南砺市法林寺2010
・電話番号:0763-52-7576
・公式HP:https://nanto-museum.com/
安部榮四郎記念館の2階展示室では、棟方志功の書などを鑑賞できます。
・名 称:安部榮四郎記念館
・営業時間:9:00~16:30
・料 金:一般500(400)円/高校・大学生300(250)円/中学生200(150)円
※( )内は20人以上の団体料金・JAF・障がい者
・住 所:〒690-2102 島根県松江市八雲町東岩坂1754
・電話番号:0852-54-1745
・公式HP:https://izumomingeishi.com/abeeishirou/
棟方志功の作品は、出身地の青森県のみならず埼玉県や富山県、島根県の美術館などで鑑賞できます。豪雪地帯出身の棟方志功は、囲炉裏の煤で眼を病んだために極度の近視でした。眼鏡が板に付いてしまう程に顔を近づけて板画を彫ったという棟方志功の作品には、素朴で力強い独特の魅力があり、特に仏教にかかわる題材を扱った作品が国際的にも高く評価されています。
棟方志功の作品を間近で見たい人は、ぜひお近くの美術館へ足を運んでみてください。
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棟方志功作品の買取ポイントを見る
代表作「二菩薩釈迦十大弟子」を初めとする仏教を取り扱った作品で広く知られる棟方志功は、20世紀の日本を誇る版画家です。1956(昭和31)年にはヴェネツィア・ビエンナーレで国際版画大賞を受賞し、「世界のムナカタ」として国際的に高く評価されるようになりました。
実際にボストン美術館やパリ・リュクサンブール美術館などの欧米の著名な美術館が棟方志功の作品を買い上げており、国際的な評価の高さは日本以上ともいえるかもしれません。
版画のことを「板画」と表現した棟方志功は、木の性質を活かして木の魂を彫り出す気持ちで作品制作にあたりました。今回は、作品制作に真摯に向き合い日本における版画の地位を向上させた棟方志功の略歴や、作品を所蔵している美術館などについて解説します。
版画の作品が有名な棟方志功の略歴
1903(明治36)年、棟方志功は青森県青森市大町(現在の青森市安方2丁目)に生まれました。
刀鍛冶職人である父棟方幸吉と、母さだの間の3男第6子として生まれた棟方志功は、少年時代にゴッホの絵画に出会い、「わだばゴッホになる(私はゴッホになる)」と言って芸術家を目指すようになります。
1924(大正13年)、21歳で上京した棟方志功は、帝展や創立されたばかりの白日会展などに油絵を出品します。初めのうちは落選が続きましたが、4年後に帝展に出品した『雑園』で入選を果たしました。その後、棟方志功は版画の魅力に目覚めて1931年には初の版画集『星座の花嫁』を刊行し、1932(昭和7)年には日本版画協会会員となりました。
1936(昭和11)年、棟方志功は佐藤一英の詩『大和し美し(やまとしうるわし)』の影響を受けて制作した作品『瓔珞譜(ようらくふ)大和し美し版画巻』を国画展に出品し、大きな注目を集めました。これを機に柳宗悦(やなぎむねよし)、河井寛次郎らの民芸運動家(日用品の中に「用の美」を見出し、無名の職人による民衆的美術工芸の美を発掘することに努めた人々)との交流が始まります。
1945(昭和20)年、棟方志功は戦時疎開のために富山県西礪波郡福光町(とやまけんにしとなみぐんふくみつまち。現在の南砺市)に移住し、真宗大谷派寺院「光徳寺」に身を寄せます。その際棟方志功は富山県の自然豊かな環境に魅了され、多くの作品を残しました。
1951(昭和26)年、疎開先から東京都杉並区荻窪に転居します。1956(昭和31)年にはヴェネツィア・ビエンナーレに『二菩薩釈迦十大弟子』『柳緑花紅頌(りゅうりょくかこうしょう)』などを出品、日本人として初の国際版画大賞を受賞しました。「世界のムナカタ」の誕生です。また、1969年(昭和44)年には青森市から初代名誉市民賞を授与され、翌年には文化勲章も受章しています。
1975年(昭和50年)9月13日、棟方志功は肝臓がんのために72歳でこの世を去りました。青森市の三内霊園には、ゴッホの墓を模して作られた棟方志功の墓「静眠碑」があります。
棟方志功の作品が楽しめる美術館
それでは、棟方志功の作品を楽しめる6つの個性的な施設を紹介します。棟方志功のダイナミックな作品は、間近で観ることでより一層の存在感を放ちます。興味のある方はぜひ足を運んでみてください。棟方志功記念館(青森)
青森市にある棟方志功記念館は、棟方志功の文化勲章受章を讃えて1975(昭和50)年に開館しました。2012(平成24)年に鎌倉市の棟方板画館を吸収合併しており、所蔵作品はますますの充実を見せています。
校倉造りを模した趣のある建物では、代表作『二菩薩釈迦十大弟子』を初めとするダイナミックな板画のほか、繊細な表現を見せる倭画やゴッホに憧憬した油絵などの作品を鑑賞できます。また、板木を含む関連資料なども幅広く紹介しているため、棟方志功の画業を深く学ぶことが可能です。棟方志功のファンなら一度は訪れたい美術館といえるでしょう。池泉回遊式の美しい日本庭園も見どころです。
・名 称:棟方志功記念館
・営業時間:9:00~17:00(4月~10月)/9:30~17:00(11月~3月)
※月曜日(祝日及びねぶた祭り期間8/2~8/7は開館)と年末年始は休館
・料 金:一般550(450)円/学生(専門含む)300(200)円/高校生200(100)円/小・中学生無料
※( )内は20人以上の団体料金
・住 所:〒030-0813 青森市松原2丁目1番2号
・電話番号:017-777-4567
・公式HP:https://munakatashiko-museum.jp/
棟方志功ゆかりの宿 浅虫温泉 椿館(青森)
青森県の椿館は、棟方志功や太宰治に愛された青森県の老舗温泉宿です。平安時代の終わり頃に開湯したといわれる歴史ある「浅虫温泉」の源泉かけ流しや手作りの郷土料理を楽しめます。明治9年には明治天皇も椿館へ宿泊されました。
1階ロビーに展示してある棟方志功の『親子鯉の屏風』は、真ん中に描かれた子どもの鯉をお父さん鯉とお母さん鯉があやしているところを描いているのだそうです。椿館には「親子鯉」の絵を用いた浴衣もあります。
・名 称:棟方志功ゆかりの宿 浅虫温泉 椿館
・住 所:〒039-3501 青森県青森市浅虫字内野14
・電話番号:017-752-3341
・公式HP:https://810215.com/
青森県立美術館(青森)
出典元:ウィキメディア・コモンズ
青森県立美術館では、隣接する三内丸山遺跡から発想を得たユニークな建物で、棟方志功、関野凖一郎、奈良美智などの個性溢れる郷土作家のコレクションを鑑賞することができます。
棟方志功の描いた初期の油彩画『八甲田山麓図』や、木版画『勝鬘譜善知鳥版画曼荼羅(しょうまんふうとうはんがまんだら)』、晩年に描いた木版画の大作『花矢の柵』などを所蔵しています。
・名 称:青森県立美術館
・営業時間:9:30~17:00(最終入館は16:30まで)
※毎月第2、第4月曜日 (この日が祝日の場合は、その翌日)と年末年始は休館
・料 金:一般510(410)円/高校・大学生300(240)円/中学生以下無料
※( )内は20人以上の団体料金
・住 所:〒038-0021 青森市安田字近野185
・電話番号:017-783-3000
・公式HP:http://www.aomori-museum.jp/ja/
やまとーあーとみゅーじあむ(埼玉)
やまとーあーとみゅーじあむは、埼玉県秩父市にある芝桜の名所、羊山(ひつじやま)公園の中にある美術館です。棟方志功の作品については質・量ともに日本有数といわれています。ここでは棟方志功の代表作品のひとつ『梨牟醐華妃神の柵』や、『秩父夜祭の柵』、『善知鳥双妃図』、『赤鬼図』、『青鬼図』などを観ることができます。
・名 称:やまとーあーとみゅーじあむ
・営業時間:10:00~16:00
・料 金:一般700(600)円/高校・大学生500(400)円/小・中学生300(200)円
※( )内は10人以上の団体料金
・住 所:〒368-0023 埼玉県秩父市大宮6175-1(羊山公園内)
・公式HP:http://www.chichibu.ne.jp/~yamato-a-t/index.html
南砺市立福光美術館(富山)
南砺市立福光美術館は、世界文化遺産の五箇山合掌造り集落があることで有名な富山県南砺市にあります。また、南砺市は戦時中の棟方志功の疎開先でもありました。
南砺市立福光美術館では、棟方志功の代表作『二菩薩釈迦十大弟子』や『沢瀉妃の柵(おもだかひのさく)』のような板絵の他、棟方志功の手による書や肉筆画である倭絵も所蔵しています。分館の棟方志功記念館「愛染苑」では、疎開中に制作した作品を中心に展示しています。
・名 称:南砺市立福光美術館
・営業時間:9:00~17:00(最終入館は16:30まで)
※火曜日・年末年始(12/29~1/3まで)と展示替期は休館
・料 金:一般310円/高校・大学生210円/小・中学生無料
※20人以上での観覧で団体料金として2割引き
・住 所:〒939-1626 富山県南砺市法林寺2010
・電話番号:0763-52-7576
・公式HP:https://nanto-museum.com/
安部榮四郎記念館(島根)
安部榮四郎とは、棟方志功や河井寛次郎に自作の紙を提供した昭和時代の手すき和紙職人です。1968(昭和43)年には重要無形文化財に認定されて「人間国宝」となりました。また、安部榮四郎は、柳宗悦やバーナード・リーチらとともに民芸運動を推し進めたことでも知られています。安部榮四郎記念館の2階展示室では、棟方志功の書などを鑑賞できます。
・名 称:安部榮四郎記念館
・営業時間:9:00~16:30
・料 金:一般500(400)円/高校・大学生300(250)円/中学生200(150)円
※( )内は20人以上の団体料金・JAF・障がい者
・住 所:〒690-2102 島根県松江市八雲町東岩坂1754
・電話番号:0852-54-1745
・公式HP:https://izumomingeishi.com/abeeishirou/
青森県出身の棟方志功の作品は全国どこでも観ることができる
棟方志功『琵琶弁天妃の柵』
棟方志功の作品は、出身地の青森県のみならず埼玉県や富山県、島根県の美術館などで鑑賞できます。豪雪地帯出身の棟方志功は、囲炉裏の煤で眼を病んだために極度の近視でした。眼鏡が板に付いてしまう程に顔を近づけて板画を彫ったという棟方志功の作品には、素朴で力強い独特の魅力があり、特に仏教にかかわる題材を扱った作品が国際的にも高く評価されています。
棟方志功の作品を間近で見たい人は、ぜひお近くの美術館へ足を運んでみてください。
美術品買取 獏の買取方法や流れについてさらに知りたい方はこちら
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