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2020年07月25日 絵画 買取

絵画買取時の疑問|査定と鑑定の違いは?

東京美術俱楽部

はじめに

東京の美術品買取専門店 獏です。
しばしばお客様から、『鑑定をしてほしい』と依頼をいただきますが、基本的に絵画買取業者は鑑定を行えません。と言うと、「鑑定が出来ないのにどうやって絵に金額を付けているの?」と疑問に思われる方もおみえになると思いますが、私たちが行っている行為は【査定】にあたります。

とても似ているように聞こえる【査定】と【鑑定】、実は大きく意味が異なります。
今回は美術品買取業者という立場から、両者の明確な使い分け方を紹介させていただきます。

査定

査定とは?

査定とは[買取できる価格を算出する事]です。
従って査定価格とは、作家の評価・クオリティ・時代背景・サイズ・コンディション等を加味して導き出した[その作品に対して実際に支払い可能な金額]を指します。
(査定金額の導き出し方に関わらず、どのような根拠でも買取価格を提示する事を査定と呼びます。例えば、本当は100万円の価値があるものに対し業者が『1,000円』という金額を提示しても、それも査定行為です。一般的には、先述のように作品の内容を市場動向に照らし合わせて査定価格を導き出します。)

日本洋画商協同組合

鑑定とは?

辞書には『鑑定とは: 美術作品,骨董品の制作者,年代,制作地,真贋の判断を行うこと。』と記されていました。
文字通り解釈すると、絵画買取業者が査定して買取する行為(査定)も鑑定に含まれそうですが、業界内では認識が異なります。

美術業界における【鑑定】とは、[作品が本物か偽物かをハッキリさせること]を指します。
この行為は基本的に所定鑑定機関で行われ、作品が本物である場合はその証明となる【鑑定書】が発行されます。(詳しくは後でご紹介します)
査定との一番の違いは、鑑定は[公的な影響力を持つこと]ですが、査定はそのような力は持ち合わせない点でしょう。

鑑定を行う所定鑑定機関は、作家ごとに遺族や業界内の専門家によって構成されています。
近年は遺族の高齢化などにより、[東京美術俱楽部]や[日本洋画商協同組合]などに鑑定機能が移管されている傾向です。
業界内で公式に認められている所定鑑定機関で真作(本物)と判断された作品は、【鑑定書】が発行されます。この鑑定書は全国の百貨店や画廊で通用する、[本物であることの証明書]となります。逆に、鑑定書無しでは販売できない作家(棟方志功や藤田嗣治など)作品も存在します。

鑑定機関は、販売元(百貨店や画廊)が偽物を販売して自分たちの信用を下げないように、またコレクターが安心して作品の購入を出来るように、業界の安全性と透明性を高めることを目的とし、整備されました。
それらの目的達成のために鑑定機関は第三者機関である必要があり、且つ 公的に認められた鑑定書以外は効力を持ちません。

古書画

所定鑑定機関がない作家はどうするの?

重要な点ですが、すべての作家に所定鑑定機関がある訳ではなく、『既に亡くなった作家』、『偽物が多い』、『市場価値が高い』の3要件を満たした場合に設立される傾向が高いです。
上で作品売買のために鑑定書が必須な作家作品も存在するとご紹介しましたが、そのような作家はごく一部で10~20人程度です。

では所定鑑定機関が無い場合はどうするのか。大多数の作家は、各々の絵画買取業者が査定時に真贋を判断しています。当社も同様ですが、稀に真贋に自信がない作品はお断りするケースもあります。

これは個人的な意見ですが、所定鑑定機関がない作家で真贋の見極めが困難なジャンルは【古書画(こしょが)】です。
狩野派や円山派など、江戸以前に活躍した作家などは各々の業者が真贋を判断します。古い作家には昔の美術研究家などの箱書や鑑定書がありますが、多くは真贋の判断に影響を与えません。非常に難しい世界です。

まとめ

【査定とは買取可能金額を付けること】、【鑑定とは作品の真贋をハッキリさせること】です。
業界の安全性・透明性を保つために、作品の価値を大きく左右する鑑定行為は公的な機関でのみ行うことが出来ます。私達のような絵画買取業者が行うのは査定のみです。
似たような言葉に聞こえる【査定】【鑑定】ですが、業界内でこのように明確に分けて使われています。

当社では鑑定は行えませんが、市場動向と過去の実績に基づき最大限の査定をさせていただいております。他の絵画買取業者と比較いただいても負けないような金額をご提案させていただきますので、是非売却をご検討されている美術品がありましたら当社「美術品買取専門店『獏』」までお気軽にご連絡ください。
査定に関する費用は無料です。安心してご相談ください!