はじめに
1980~90年は絵画・美術品ブームで市場が活気づいており、百貨店や画廊は盛況だったと聞きます。バブル景気と相まって作家の市場価値が急激に上昇し、資産としても脚光を浴びており、当時40代から50代の若い方も多くの美術品を買い求めていました。最も賑わっていた時期から30年以上が経過して、代替わりのタイミングを迎える方が増えてきました。
近年、『生前整理』という言葉が多くのメディアでも取り上げられており、絵画・美術品も整理の対象として多くの問い合わせをいただきます。身内の方が引き継いでくれるのであれば残したいとお思いの方が多いですが、配偶者や子供であっても嗜好や住環境が異なるため、元気なうちに整理してほしいと頼まれるそうです。
長い年月をかけて収集されている作品を処分する事は断腸の想いですが、自信の手で整理する事が絵画・美術品との正しい向き合い方のひとつだと思います。
絵画・美術品の買取を専門で行っている立場から最適な売却方法をご提案させていただきます。
売却・整理する時に始める2つのポイント
まず整理しようと決めたら『何を所有しているか』と『どこに相談するか』が重要なポイントになります。この2つのポイントを抑えれば良い売却につながりますので、最も時間をかける点だと思っています。1つ目のポイントは『何を所有しているか』を明確にする点です
作品を数点から数十点所有している方は、なんとなく自身のコレクションを覚えていると思いますが、作家・構図・サイズ等の詳細まで把握している方は少ないです。最低限の情報(作家名・作品の技法・サイズ・図柄)だけリストにする事により、自分のコレクションの傾向を把握でき、最適な売却先を探すのに役立ちます。また、売却先候補と金額交渉する際にリストがあるとスムーズに簡易査定が行われますので、多くの業者と相談が可能になります。結果的に時間が節約できます。
法人の所有物や弁護士からの案件は2~4社見積を取る前提なので、作品の画像付きでリスト化されている事が多く、スムーズにやり取りできます。具体的な金額は現物を見ないと確定しませんが、事前に売却先を絞り込むうえで役に立つでしょう。
2つ目のポイントは『どこに相談するか』です
絵画・美術品の買取を行っている会社は数多くあります。近年は貴金属やブランド品をメインに扱っている買取業者が美術品なども取り扱うようになり、売却候補が増えています。また絵画・美術品に関しては何度も売却をする方が少ないので初めての方が多い印象です。その為、売却先を探すことは重要で失敗は許されません。
美術品と言っても絵画(油絵・日本画・版画)・陶磁器・掛軸・茶道具・工芸・骨董・西洋磁器など非常に幅が広いです。ジャンルの幅が広いと得意不得意は出てきますので、コレクションの傾向に合う業者を探すことです。茶道具をメインに取り扱っている業者に西洋磁器を依頼しても満足な回答を得られない可能性があります。HPを見れば買取業者の方向性は分かると思いますので、じっくりと見てみましょう。
次のステップは3~4社ほど選んだ業者に見積依頼を出します。現物を見てもらうのは大変なので1つ目のポイントで用意したリストを使用して簡易査定を依頼します。作品点数が少ない方は口頭で伝えるだけでも大丈夫です。
多くの業者は幅を持った金額で査定額を出しますので、上限金額の高さだけではなく下限金額の低さも考慮した方が良いでしょう。作品によっては大きく金額の幅が出てしまいますが、他の業者と比べて下限金額が低すぎる業者は注意が必要かもしれません。
あとは担当者との相性や対応で判断した方が良いかなと思います。