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2020年05月14日 絵画 買取

おかしい?絵画の値段の決め方はプライマリーとセカンダリーの号の考え方が重要

買取のポイント

はじめに

絵画に対してどのようなイメージを持っている方が多いでしょうか?
学校の授業で体系的に美術史を習っているはずなので、ミケランジェロやゴッホなどの有名作家の名前は知っている方が多いと思いますが、日常に流通している作家に対して詳しい方は少ないでしょう。このブログをご覧になっている方は横山大観、梅原龍三郎などの有名作家は知っているかもしれませんが、世の中の大多数の人は聞いたことが無い方が多いのではないでしょうか。私自身も美術業界に入る前は一度も聞いたことがありませんでした。

なので、美術に関心がない多くの人は、美術品に対して「高尚な趣味」、「美術館で見るもので買うものではない」、「価格設定が不透明」などのイメージを抱いていると思います。

このブログでは、「百貨店やギャラリーで販売されている美術品がどのような根拠で価格設定をしているか?」という疑問点を解消できればなと思います。
当社は絵画・美術品の買取を専門に行っています。美術業界の不明瞭な点を解決し、販売や買取に関しての基準を紹介します。

市場評価

プライマリーマーケットとセカンダリーマーケットとは?

絵画も商品ですのでマーケットが存在します。市場原理に則した価格設定を行いますが、作品の流通過程によって値付けの方法が異なります。
絵画の世界では新作を売るプライマリーマーケットと一度市場に出回った作品を売るセカンダリーマーケットに分けて考えます。作品がどちらのマーケットに属するかで値付け方法が異なるため、簡単に理解する事が必要です。

プライマリーマーケットの価格設定

プライマリーマーケットでは作家とギャラリーの取り分を50対50で折半している所が多いです。なので、売上の50%が作家から仕入れた原価とも考えられます。

市場原理によって差異はありますが、多くのモノやサービスは人件費の総量なので、作家の価値が上がれば人件費が高くなりますので原価が上がるという考え方です。

基本的には作品の号数に号評価を乗じた金額が小売価格となり、実績がある作家ほど号評価が高く、1号あたり数十万円で設定されているケースもあります。一方、新人作家は実績が少ないため1万~3万円前後の号評価からスタートする傾向です。
展覧会での売れ具合を考慮して、作家と画廊が相談して号評価の金額を上げていきます。どのタイミングで上げるかは画廊側の手腕が問われるところです。

プライマリーマーケットの特徴として、基本的には構図や描き込み具合は関係なく、サイズに号評価額を乗じた金額が小売価格です。
後述しますが、セカンダリーマーケット(中古市場)では、画商がマーケットで仕入した金額をベースに小売価格を決定し、同じ作家で同じサイズでも図柄の人気により仕入金額は異なります。

ギャラリー

~番外編・プライマリーマーケットで急激に金額が上昇するケースは?~


多くの画家は地道な活動を続け、少しずつ実績を重ね、コレクターを増やします。コレクターが増えることにより需要が高まるため、号評価の金額をゆっくりと上げていきますが、作家によっては急激に上がるケースがあります。

個展を開催し、賞レースに出品し、美術雑誌などメディアへの露出などを続けることによりコレクターが増えると言われていますが、近道の一つに画廊の移籍があります。画廊にも海外にも支店がある大手から個人で行っている小さい画廊まで数多く存在しますが、最初から大手画廊に所属できる画家はごく一部で、最初は小さい画廊からスタートする方が多いでしょう。

大手画廊はコレクターの数が多いため、移籍することによりコレクターが一気に増える可能性があり、そこで成功すれば発表価格を大幅に上げても売れる環境が整います。このようなシンデレラストーリーはごく一例ですが、世界的画廊のガゴシアンギャラリーへ移籍した草間彌生はこのような経緯で世界的な評価を確立しました。

セカンダリーマーケットの価格設定

セカンダリーマーケットとは一度市場に出回った作品の事です。簡単に説明すると中古品の事です。絵画に関しては保管方法さえ間違えなければ数十年から百年以上保存できるため、需要がある限り半永久的に商品として流通が可能です。
日用品などは中古商品に抵抗がある方もいるかと思いますが、セカンダリーマーケットに流通する多くの美術品は既に人の手に渡っているため、美術業界関係者やコレクター間では気にしない人が殆どです。

プライマリーマーケットでは号評価が基準となりますが、セカンダリーマーケットでは市場評価が基準となります。市場評価とは、ざっくりと言えば需要と供給の関係で決まります。インターネットオークションで売買されている金額だと思っていただければ良いでしょう。

需要と供給の関係で値段は決まりますが、作家の人気度、作品のクオリティ、サイズ、コンディション、将来性など様々な要素が複雑に絡み合って形成されます。
プライマリーマーケットでもコレクターの数や人気度を考慮して徐々に金額を上げていきますが、セカンダリーマーケットではコレクターや作品を買い支えるギャラリーなどの思惑がダイレクトに反映されますので非常にリアルでドライな評価と言えます。
プライマリーマーケットでは号5万円で評価されているにもかかわらず、セカンダリーマーケットでは買取できないケースもあります。一方、プライマリーマーケットよりもセカンダリーマーケットの方が格段に高い金額で流通している事もあります。
転売を生業としている方が活躍する世界ですね。

業者が買取する際はどちらのマーケットを重視するの?

基本的に絵画を買取する際はセカンダリーマーケットでの評価を基準にします。例外的にセカンダリーマーケットで成熟していない若手作家などはプライマリーマーケットの評価を参考にしますが、売却される作品の多くは既に亡くなっている作家やセカンダリーマーケットで評価が定まった作家が殆どです。

人気が高い作家や作品は将来性や自社の顧客状況を鑑みてセカンダリーマーケットの相場よりも高く買い取る事もあります。

ほとんどすべての買取業者はセカンダリーマーケットでの評価を基準にして買取価格を決定しますが、業者独自の考え方によって値付けが異なりますので、売却の際は2~4社ほど簡易査定することがおススメです。
また、最終的な金額は現物を見てみないと判断できないので時間に余裕がある方は実際に見てもらって見積をお願いした方が良いと思います。
当社 東京の美術品買取専門店獏 では査定・見積は無料で対応しておりますので、是非お気軽にご相談ください。