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横浜美術館<ルノワールとパリに恋した12の画家たち>

ルノワール
こんにちは、東京の美術品買取専門店獏 小林です。

今回は令和1年9月21日〜令和2年1月13日まで横浜美術館で開催されている『ルノワールとパリに恋した12の画家たち』についてご紹介いたします。
横浜美術館開館30周年記念、オランジェリー美術館コレクションという副題です。
ルノワールを中心にモネ、マティス、ピカソ、モディリアーニなど総勢13名の作品で構成されています。

個人的には常設展がおススメ!

現代美術から浮世絵まで多種多様な作品を上質な空間で鑑賞できました。
同じ金額で常設展も鑑賞できるのですが、ルノワール展を見て帰る人が多いせいか、非常にゆっくりと楽しめました。
珍しさだけで言えば、ルノワール展の方がすごいです。ルノワールを中心にマティスやモネなど同じ時代を生きた巨匠達の作品を一堂に鑑賞できる機会はなかなかありません。印象派は近代絵画の幕開けともいうべき、美術史では非常に重要な出来事でした。写真のように写実的に対象物を切り写すことが主流でしたが、印象派は実際の目で見える対象物を切り取ることに心身を注ぎました。目で見えるものを切り取ることは写実画と何が違うのかと思うかもしれませんが、印象派は一瞬一瞬で切り替わる光の反射や風邪による動きもキャンバス上に表現しました。作品を見てもらえば一目瞭然ですが、流れるような筆使いと光り輝く鮮やかな色合いは古典的な写実とはまったく異なります。今でこそ多様な表現方法を受け入れられる土壌が出来上がっていますので、印象派の作品にそこまで違和感はないかと思いますが、当時はかなりの物議を醸し、当初作家たちは多くに批判に晒されました。そんな歴史を超えて現代美術の下地を作った印象派たちの作品を日本で鑑賞できるのはとても文化的で貴重な経験だと思います。
横浜美術館
さて、横浜美術館の所蔵品を見ていきましょう。
下記の文章は横浜美術館の公式HPより抜粋しました。

横浜美術館は、1989年11月3日に開館しました。
迫力のあるシンメトリーな外観と、吹き抜けの開放的なグランドギャラリーが特徴の当館は、7つの展示室のほか、11万冊を超える蔵書がある美術情報センター、多彩なワークショップを行うアトリエなども揃う、国内でも有数の規模を誇る美術館です。 国際的な港町、横浜にふさわしい美術館として、開港以降の近・現代美術を幅広く鑑賞していただけるほか、年間を通じて、約1万2千点の所蔵品からテーマごとに展示を行うコレクション展、多彩な企画展を開催しています。
横浜の街が育んできた歴史と、発展し続けるみなとみらい21地区の息吹を感じながら、横浜美術館で充実した時をお過ごしください。
公式HPで紹介されている通り、近代的で開放感がある館内で、充実のコレクションを楽しめました。
清水登之や藤田嗣治などの明治から昭和にかけて活躍した洋画家から始まり写真・浮世絵・日本画と幅広いジャンルで良い時間を過ごさせていただき、個人的に気に入ったのは具体ゾーンです。
具体とは吉原次良が主催した具体美術協会に所属していたメンバーを総称して呼ばれ、日本版アンフェルメルと世界では評価されていました。吉原の作品はありませんでしたが、田中敦子と白髪一雄の作品が展示されており、白髪の作品には圧倒されました。
アメリカの抽象表現主義の流れも少しあるかと思いますが、この時代の前衛美術家たちは作品のサイズがどんどん大きくなり、日本国内だと100号前後が展覧会の出品作として一般的な大きさでしたが、それよりも大きな作品で造られていました。白髪一雄は取り扱った事は何度かありますが、市場に出回っている作品は10号以下のサイズが殆どで、改めて具体美術の迫力を体感するには大きさも重要だと感じました。
現代美術といえば、DIC川村記念美術館が有名です。マーク・ロスコやフランク・ステラなどの巨大作品が収蔵されており、日本国内では一級品の内容ですので現代美術に興味ある方は一度訪れてほしい美術館です。

横浜美術館はアクセスも良く、美術館の周りに商業施設があるので、1日過せるのでは無いかと思います。企画展も良いですが、常設展こそ美術館の方向性が色濃く出ています。企画展と違いゆっくりと鑑賞を楽しめますのでオススメです。