吉田博

吉田博の版画の
買取価格とポイント

1876年~1950年 物故作家。
福岡県久留米市に生まれ。1887年に福岡市に転居する。県立中学修猷館を卒業後、京都にでて田村宗立に師事する。翌年上京して不同舎に入り、明治美術会会員となる。1899年から2年間欧米に遊学し、1902年には太平洋画会結成に参加する。文展では連続で受賞後、審査員を務める。1936年に日本山岳画協会を結成し、実際に登攀し実見した内外の山岳風景を、主に水彩画や版画に表現する。当時の日本人としては稀な芸術家で、海外体験を通じて東西の芸術作法を見つめ、一貫して風景を取材する。自然に飛び込み融合することで体得した自然観と、欧米の専門家をも驚嘆させた高い技術をもって制作を重ねた。


吉田博が木版画作家になったきっかけ|ダイアナ妃に認められた吉田博の略歴と木版画が楽しめる全国の美術館

吉田博の作品の買取ポイント

吉田博の作風について

版画家・吉田博は浮世絵の流れを汲みつつ、独自の進化を果たしました。過度な装飾やデザイン性を排除した写実的な風景が特徴的で、近代的な浮世絵像を確立させた作家と言えます。当時は洋画の勢いが強く、日本独自の古典的な表現様式に重きを置かれていなかった時代に獅子奮迅のごとく実績を重ね、美術史で高い評価を得ています。
「富士拾景」、「瀬戸内海集」、「日本アルプス十二題」などのシリーズ作品が多いのも特徴です。

吉田博の作品の現在の評価と価値

浮世絵の流れを汲む作家の特徴として、現代版画では一般的な限定部数(1/300や23/50など)の記載は無く、サインのみです。通常は限定部数が無いと発行枚数が分からない事から、作品の権威性(評価)が落ちますが、吉田博を含む一部の作家は影響がありません。浮世絵の流れを汲み、現代版画の常識からすると少し特殊なジャンルでしょう。

木版が作品の買取金額は数万円台から10万円以上まで様々です。作品数は少ないですが油絵作品も後世に残しました。こちらの場合は数十万円台になる事が多い印象です。

作品の画像をいただければ具体的な金額で査定額をご提案できますが、作品の題名だけでもお調べできるケースもあります。是非、お気軽にご相談ください。

版画の買取について詳しくみる

吉田博の油彩・水彩画・版画作品は
全国各地の美術館に所蔵中

川のある風景(油彩) 府中市美術館所蔵
雲叡深秋(油彩) 福岡市美術館所蔵
精華(油彩) 東京国立博物館所蔵
雲井桜(水彩9 福岡県立美術館所蔵
新月(水彩) 東京国立近代美術館所蔵
ユングフラウ山(版画) 東京都現代美術館所蔵
東京拾二題 神楽坂通 雨後の夜(版画) 東京富士美術館蔵

吉田博の代表作「光る海」千葉市美術館に所蔵

吉田博は1920年頃から版元・渡邊庄三郎と組んで木版画を制作を始めます。震災後には自ら彫師・摺師を抱える私家版を手がけるようになり、木版画を制作の中心にしていきます。
1926年作の「光る海」は、「瀬戸内海集」の1作目です。海面に浮かぶ帆船もさることながら、光に煌く水面を彫刻刀のノミの跡で巧みに表現しており、ダイアナ妃が執務室に飾っていたことでも有名です。

吉田博の代表的な版画作品

  • 白馬山頂(版画)

  • 猿澤池(版画)

  • 五色原(版画)