陶器作家 山本陶秀
1906年~1994年 物故作家。
岡山県(現在の備前市)に生まれる。農業を営む一般家庭であった。1919年に伊部尋常高等小学校を卒業し、当時伊部の窯元として最大手だった黄薇堂の見習いとなる。ここから本格的な作陶を始める。1933年に伊部に開窯して独立する。その後、楠部禰弌に師事する。1951年に北大路魯山人やイサム・ノグチらが伊部を訪れた際に交友が始まる。1954年に岡山県重要無形文化財作家に指定される。1964年にはじめて欧州へ行く。オランダ、フランス、ドイツ、イギリスを訪れて美術品、史迹、古窯跡とともに現代の欧州陶芸を視察する。1970年に日本工芸会理事となる。1972年に岡山県文化賞を受賞する。1976年に紫綬褒賞を受賞する。1981年には組綬褒賞を受賞し、1987年に国指定重要無形文化財保持者「備前焼」に認定される。
買取ポイント
山本陶秀の作風
備前焼で人間国宝に認定された作家の中でも、熟練した轆轤(ろくろ)技術と上品な佇まいが印象的な作風を残しました。また、茶入などの茶道具も数多く残し、茶の世界でもよく使用され、【茶陶の踏秀】とも呼ばれています。ちなみに、金重陶陽は華麗な作風で、藤原啓は大胆な造形などが特徴的と言われています。
山本陶秀は若くして独立し、楠部彌弌のもとで学び実力をつけていきました。技術力の高さが評価され、軍需省嘱託として備前焼の皿などの食器制作に従事した実績もあります。再現性のある高い技術力が伺える作品が特徴的な作家です。
山本陶秀の現在の評価と価値
亡くなった後も相場が残る作家のひとりです。買取金額は数万円台から10万円以上と様々ですが、小ぶりな作品が多いため、10万円以下になる事が多い印象です。獅子型の香炉など一部の人気作品は数十万円台の査定額となります。
焼き物の世界では、サイズが大きくなればなるほど評価が高くなる傾向です。しかし、山本陶秀の作品は茶道関係のものが多いため、大作は少ない印象です。ただ、【書付(かきつけ)】と呼ばれる表千家や裏千家の家元の銘が入っていると、小ぶりな作品でも高価買取が期待できるでしょう。山本陶秀の作品のご売却をご検討の際は、お気軽にご相談ください。