陶器作家 八木一夫
1918年~1979年 故物作家。
京都市東山区馬町に陶芸家・八木一そうの長男として生まれる。父の影響により幼少の頃から陶芸に興味を持っていた。13歳頃には京都市美術工芸学校彫刻科に入学し、その後国立陶磁器試験所の伝習生となり、沼田一雅の日本陶彫協会に入会し陶彫を学んだ。そして兵役、教員を辞した1946年より陶芸に専念するようになる。1950年にフランス・チェルスキー美術館にて開催の「現代日本陶芸展」に出品する。翌年にはイタリア・ファエンツァ陶磁博物館にて開催の「現代日本陶芸展」にも出品する。1957年に京都市立美術大学の彫刻科非常勤講師となり、この頃から黒陶作品の制作を始める。1959年に第2回オステンド国際陶芸展グランプリ受賞し、62年には第3回プラハ国際陶芸展グランプリを受賞する。1965年にニューヨーク近代美術館にて開催「日本の新しい会画と彫刻展」に出品する。1972年に札幌オリンピックのメダルのデザインなども担当した。
買取ポイント
八木一夫の作風
1948年に鈴木治、山田光、松井美介、叶哲夫とともに美術陶芸家集グループ「走泥社」を結成し、オブジェ焼など伝統にとらわれない自由な陶芸を目指しました。この「走泥社」はその後50年にわたり前衛陶芸を育てたとされ、古典陶芸から一線を画す作品が世に発表されました。
八木一夫の作品で最も注目される前衛作品は、カフカの小説「変身」の主人公をモチーフとした抽象オブジェ『ザムザ氏の散歩』ではないでしょうか。ただ当時はオブジェがまだ認められていない中、カフカを焼いたとしてちょっとした事件となったそうですが、後に八木自身の変身と重ね合わせた作品とされました。焼き物の既成概念を破る世界を開拓しつつも、伝統的な陶芸を否定することなくオブジェ作品のみならず、茶碗や壺の制作も続けていた八木一夫は土に愛着を持ち続けた陶芸家です。
八木一夫の現在の評価と価値
伝統的な陶芸から異なる世界である、コンテンポラリーアートの分野でも評価されています。作品によっては制作されてから半世紀以上経過しているにもかかわらず古さを感じさせず、良い作品は時代の壁を超える普遍性があると教えてくれます。
一般的な焼き物(茶碗・盃・皿など)は数万円台からと、落ち着いた価格帯での買取となりますが、オブジェなどの創造性が豊かな作品は100万円以上の買取も可能です。日本芸術が最も盛り上がっていた時期と比べると寂しい価格帯ですが、その中でも最大限の評価をさせていただきます。八木一夫の作品のご売却をご検討の際は、お気軽にご相談ください。