田中阿喜良の油絵・絵画・版画の買取価格とポイント
1918年~1982年 物故作家。
大阪府生まれ。1937年に大阪府立高津中学校を卒業する。翌年に姫路高等学校に入学するが、1940年同校を中退し京都高等工芸学校図案科に入学する。画家を志しながら応召し、3年間のブランクを経た後、1947年に第2回行動美術展に「庭」を初出品する。1955年同展に「棺」「枷」「母子」を出品し、同会会員となる。1956年に神奈川県立近代美術館で開かれた「今日の新人展」に招待出品し、1957年には同館主催のシェル美術賞展に「杭」「父子」を出品し一等賞を得る。1958年春に渡仏する。翌年にはサロン・ドートンヌに出品するとともに、グラン・エ・ジューヌ・オージュルディ展に招待出品する。また、同年フランス・ビルヌーブ1等賞を受賞する。1960年にモナコ国際展絵画部グランプリ、仏国ポンタヴァン賞を受賞し、61年にはサロン・ドートンヌ会員となる。62年、パリ・ジャン・カステル画廊と契約、翌年エルベ画廊と契約する。この頃から作風が固まりだす。享年63歳。
買取ポイント
田中阿喜良の作風
田中阿喜良といえば、<独特な人物描写>で描いた絵画作品ではないでしょうか。「土のついたジャガイモのようだ」と揶揄される作風はフランスに渡った後に確立されたと言われています。垂直線、水平線を強調した構図、簡略化した形体把握、輪郭線の使用、色の限定など、晩年の作品に通じる点が数多くあります。田中阿喜良が45歳頃に、荒目キャンバスとビニール系の水性塗料を用いた素朴なマチエルを持つ白い下地に、パリの庶民を描き出す独特の作風が定着しました。現代の鑑賞者が当たり前のように感じる、芸術品とは美しいものという固定概念を壊し、具象画でありながらコンセプトを重視する現代美術のような考える芸術を私たちに示していると思います。落ち着いた色合いや荒目のキャンバスにはすべて意味があり、ファーストコンタクトは衝撃を受ける方が多いと思いますが、時間をかけて見て感じ考えることができる奥行がある作品です。
田中阿喜良の現在の評価と価値
死後長らく経過した現在でも需要がある作家のひとりです。近年ではフランスで再評価されだしているような話も聞きます。田中阿喜良の高価買取ポイントは、<田中阿喜良らしさ>です。非常に抽象的な表現になりますが、査定のポイントはどれほど田中阿喜良らしいかです。唯一無二の表現様式を確立した作家にはすべて当てはまりますが、作品を見て作家の名前が出てくるような作品が市場では最も評価が高いです。また、ジャガイモのような凹凸感がある人物が描かれ、サイズが大きい作品が良いでしょう。
買取の注意点
油絵は湿気等によりワレやカビがでる場合があります。コンディションの度合いにより評価が変わるため、現物の確認後に最終的な判断をさせていただきます。ただ、殆どの作品がワレなどのダメージが発生している印象です。
現在所定鑑定機関はないため、ご売却をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
田中阿喜良の作品
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ヴァイオリン(油絵)
ジャガイモのような特徴的な画面です。人物のアップよりも少し引いた構図の方が良いです。
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無題(油絵)
ハープを弾いている女性でしょうか。
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チェス(版画)
シックなトーンで飾りやすい作品です。版画作品なので評価は低いです。