斎藤三郎の油絵・絵画の買取価格とポイント
1917年~1996年 物故作家。
埼玉県熊谷市生まれ。東京物理学校(現在の東京理科大学)在学中の一時期、本郷絵画研究所に通う。1940年に同行を中退し第二次世界大戦へ出征する。戦地で画家になることを決意し独学で多くのデッサンを描く。1945年に復員し、翌年には第31回二科展に「向日葵」が初入選し、以来同展に出品を続ける。1954年に二科会会員となる。1961年にパリ賞を受賞した事により、翌年フランス、スペインに遊学する。1972年ころからスペインの人物などを描きだす。1990年に勲四等瑞宝章を受章する。
買取ポイント
斎藤三郎の作風
斎藤三郎といえば<カルメン>と<スペイン>を題材にした絵画作品ではないでしょうか。これほどスペインに魅了されて描き続けた日本人作家は他にはいないです。昭和30年代は抽象作品を描いていましたが、ヨーロッパへ渡ったのがきっかけで現在の代表的な作風へシフトしていきました。スペインの踊り子や風景をテーマに鮮やかな色彩で情熱的で華麗な世界を描き、一躍人気作家となりました。
スペインはピカソ、ダリ、ミロを生み出した芸術大国です。更に時代を遡ればゴヤやエル・グレコなどもいます。巨匠を生み出した土壌に斎藤三郎は惹かれたのでしょうか。
斎藤三郎の現在の評価と価値
現在も多くのファンがいる斎藤三郎ですが、査定する際の一番のポイントは1972年以前か以後の作品かどうかです。斎藤三郎の代名詞であるスペインに関する作品ではないと現在のマーケットでは評価されません。斎藤三郎の歴史を紐解く上では1972年以前の抽象作品は重要な資料になりますが、市場価格とは別のお話になります。
特に高額査定しやすいのが<女性が踊っている情景>を描いた作品です。
カルメンというタイトルがついた作品も多いことから、オペラやフラメンコで踊る女性に着目し、エネルギッシュな動きを絶妙なバランスで表現しています。女性の表情や背景に描かれている調度品等により評価が変わるため、作品の描き込み具合も重要な査定ポイントです。色合いは赤やオレンジなどの暖色系で構成されているかもポイントです。
斎藤三郎の価格とリトグラフの評価は?
斎藤三郎の油絵作品は数十万円台になる事が多く、上記で述べたように作品の内容が重要となります。一方、リトグラフなどの版画作品は非常に厳しい評価になる事が多いでしょう。
油絵は湿気等によりワレやカビがでる場合があります。コンディションにより評価が変わってきます。斎藤三郎の作品は光沢感ある表面なので絵の具のワレが出ていても見分けにくいかもしれません。
油絵等の原画作品は<日本洋画商協同組合>が所定鑑定機関になりますが、鑑定書が無くても買取は可能となります。是非ともお気軽にご相談ください。
斎藤三郎の代表作品
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セビリアの娘(油絵)
写実的で明確な色使いと、バランス感覚が優れた構図の作品です。斎藤三郎の代表的なモチーフでしょう。
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セビリアの朝(油絵)
具象と抽象が入り混じった実験的な作品ですが、人気がある様式ではありません。
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パリジェンヌ(版画)
自信あふれる表情が印象的です。