ジノリの買取価格とポイント
1735年、トスカーナ大公国のカルロ・ジノリ侯爵が、フィレンツェ郊外のドッチアに磁器窯を開き創業したイタリアの総合陶磁器メーカー。
当時のヨーロッパでは、1700年代に入りドイツでマイセンが、オーストリアのウィーンでアウガルテン窯が磁器製造に成功していた。それに対抗するべく、鉱物学に造詣が深かったカルロ・ジノリは、自ら原料土を探し磁器の研究に力を入れ、ついにイタリア初となる白磁を完成させた。
この時期に生まれたのが「ベッキオホワイト」シリーズ。ベッキオとはイタリア語で「古い」を意味し、最古のシリーズである。
職人の技が向上するにつれ、多色使いの花々が描かれるようになり「レッドコック」や「グランデューカ」が生まれる。
カルロの長男であるロレンツォ・ジノリが跡を継ぐと、新工場を設立し、土の研究や改良を重ねていく。フランスのリモージュから取り寄せたカオリンによってより白く美しく、後に「トスカーナの白い肌」と讃えられるほどの白磁が誕生した。「イタリアンフルーツ」「アンティックローズ」が生まれたのはこの時期である。
1801年、3代目カルロ・レオポルド・ジノリの時代に初の直営店をオープン。当時流行していたネオクラシック様式を取り入れ、シンプルで直線的なフォルムが特徴的なインペロシェイプが誕生する。
1896年、5代目の時代にミラノのリチャード陶磁器会社と合併し「リチャードジノリ」となる。
2013年にはグッチの傘下に入り、2020年には「リチャードジノリ」から「ジノリ1735」へとブランド名を新たにした。
買取ポイント
ジノリの作風
18世紀から作られている最古のシリーズ「ベッキオホワイト」は、ジノリの永遠の定番。バロック様式の格調高いベッキオジノリシェイプで、バスケットの編み込み模様と中心に向かって波のように入ったレリーフラインが美しい白磁です。
同じく不朽の名作として愛されている「イタリアンフルーツ」は、アンティコシェイプと呼ばれる柔らかな曲線のロココ様式。ゴールドの曲線と花びらのようなブルーで縁取られ、ジノリならではの白地にフルーツや小花が絶妙なバランスで散らされています。
イタリア語で大公という意味の「グランデューカ」は、トスカーナ大公妃でありオーストリア女王であったマリア・テレジアのためにデザインされたもの。1750年ごろの日本や中国の着物の装飾からヒントを得ており、東洋的な花模様が高貴な雰囲気を漂わせます。別名「東洋の庭」とも呼ばれます。
1923年から約10年間アートディレクターを務めた巨匠、ジオ・ポンティが制作したパターンから新たな着想を得て作られた「ラビリント」は、古代文明とイタリアンモダンを融合させた迷路のようなデザインが特徴です。
現在活躍している気鋭のデザイナーとのコラボレーションによる、アーティスティックで現代的な作品も扱っています。