「新朦朧派」奥田元宋の略歴
1912年~2003年 物故作家。
広島県生まれ。図画教師であった山田幾郎教諭の影響で絵を描き始める。洋画家・南薫造に憧れて広島に来た斎藤与里に講習会で学ぶ。1931年に上京し、日本画家・児玉希望に師事するが、一時期絵の道から外れる。1936年に文展に初入選し、翌年には特選を受章する。1942年頃より同郷出身の洋画家・靉光(あいみつ)と親交を結び、1944年に郷里へ疎開し53年まで留まる。その時に美しい自然に触れて人物画から一転して風景画作家として舵を切る。1950年代の後半には洋画家・ボナールに傾倒するが、日本画の道に戻る。近代ヨーロッパの色彩表現と水墨画の伝統を融合して「新朦朧派」という画法を確立。
その後、文化勲章をはじめ数々の賞を受賞する。1996年に京都銀閣寺の庫裏・大玄関、および弄清亭の障壁画を完成する。2006年に広島県三次市東酒屋町に「公益財団法人 奥田元宋・小由女美術館」が開館する。享年90歳。
奥田元宋の版画・日本画の買取ポイント
奥田元宋の作風|「元宋の赤」と呼ばれる独特な赤色が特徴
奥田元宋といえば、<風景>を題材にした絵画作品ではないでしょうか。
代表的な構図は<山の麓に林があり手前の川か湖に山が写っている>作品です。文章で説明すると難しいですが作品を見れば一目瞭然です。第一印象から心惹かれて見るほどに魅力がわく作品なので人気がでるのも当然です。略歴に述べましたが戦前は人物画や花鳥画を中心に創作していましたが、疎開したタイミングで風景画家・奥田元宋が生まれました。古典資料もモデルも不足している中で故郷三次の自然を写生することに没頭して風景画に開眼したそうです。
奥田元宋の現在の評価と価値
高価買取のポイントは、<赤>でしょう。燃えるような赤で描かれた風景が高価買取しやすいです。新緑の緑と空の青の対比も素敵ですが、奥田元宋は赤です。全体のバランスが重要ですが、赤を多く使っているほど高い評価を得ています。版画作品も同様で赤が多く使われている構図が高価買取しやすいです。では作品の種類によって評価額は異なりますので順に見ていきましょう。
① 日本画
絹本に彩色で描かれた作品です。高価買取しやすい<赤>をふんだんに使用した作品で、100万~300万円前後の買取査定額となります。ここ数年で評価が下がっている印象ですが、美術館に収蔵されてもおかしくない逸品は300万円以上の金額がつく可能性もあります。それ代表的な構図以外だと100万円に満たない買取価格になる事が多いです。奥田元宋の日本画は<奥田小由女氏>が所定鑑定機関となりますが、鑑定書が無くても査定後にとれますのでお気軽にお問合せください。
② 版画
シルクスクリーンなどで制作されています。ほとんどの版画作品の買取査定額は1万円前後になります。シミやカビなどのダメージが出ていると評価は下がります。
公益財団法人 奥田元宋・小由女美術館」で
奥田元宋の作品が鑑賞可能
広島県三次市にある「公益財団法人 奥田元宋・小由女美術館」は日本画家元宋と、妻の人形作家小由女の夫婦の名を冠した美術館です。
平面である日本画と、立体である人形が見事な調和をもたらしており、周囲の豊かな自然との共生を目指して建設家・柳澤孝彦氏の設計により2005年に創立されました。
元宋と小由女の各常設展のほか、様々な企画展示が行われたり、市民の創作活動の発表の場になったりと地域とも密接に繋がっている豊かな美術館です。奥田元宋の代表作「待月」(広島県立美術館蔵)からとって「待月庵」と名付けられた茶室もあり、お茶を楽しむこともできます。
奥田元宋の代表作品
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白嶺秋輝(版画)
この構図で日本画だと300万円以上の買取価格がだせる逸品です。
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秋の渓流(版画)
赤は使用されていますが人気のある構図ではないため、査定価格は落ち着いたものになる印象です。
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霧雨の湖(版画)
人気が高い構図です。