塗師祥一郎の絵画・油絵・版画の買取価格とポイント
1932年~2016年 物故作家。
石川県小松市生まれ。陶芸家・塗師淡斉の長男として生まれる。父の仕事のために誕生してすぐに埼玉県大宮に転居するが、戦況悪化により小松市に戻る。1947年に北国現代美術展に「静物」を出品して吉川賞を受賞し、本格的に画家を志す。1950年に金沢美術短期大学に入学し、集中講義に来ていた洋画家・小絲源太郎と出会う。1952年に第8回日展と第38回光風会展に初入選する。大学卒業後は大宮に転居して小絲源太郎に師事する。1962年に第48回光風会展を出品しクサカベ賞を受賞、63年光風会会友となる。1967年に2カ月間でフランス、スペイン、イタリアを巡遊する。同年に光風会を退会して翔陽会を結成する。1971年に第3回日展に越後の集落を描いた「村」を出品して特選を受賞し、77年に日展会員となる。同年、日洋展に参加する。日洋展は岡田又三郎らを中心に設立された団体。2003年に前年の第34回日展出品作で日本芸術院賞を受賞し、日本芸術院会員となる。2005年にはフランス国民美術協会の招待によりルーブル美術館で作品を展示する。2007年より埼玉県美術家協会会長を務める。没後には埼玉県立近代美術館で同館所蔵品による「塗師祥一郎追悼展」が開催さる。享年84。
買取ポイント
塗師祥一郎の作風
塗師祥一郎の画風を決めるターニングポイントは1960年代後半のヨーロッパ周遊と言えます。この頃から北国の集落や雪景を描くようになり、ヨーロッパ周遊がきっかけで憧れていた西洋の風景画に描かれているのが日常的風景であったことを知り、自信が生まれ育った日本の風景を描くこと決意しました。1966年の第52回光風会展に「北の町」を出品して光風会会友賞受賞、第9回日展に「雪景」を出品し特選受賞など専門家にも評価されました。2016年までの50年間は日本の冬景色を終生のテーマとして描き続けました。
塗師祥一郎の現在の評価と価値
没後間もないですが、相場が残る作家のひとりです。塗師祥一郎の代表的な構図は「北国の冬景色」です。作品の前に立つと冬の厳しさをリアルに感じることができる描写力や表現力は長年描き続けたから到達した境地だと感じます。落ち着いた色合いに白い雪景色が良い構図とされ、雪の描写が多いほど高価買取しやすい作家です。
キャンバスに油絵の具で描いた「北国の冬景色」で、10号くらいの大きさと仮定します。買取金額は8万~10万円前後です。この相場を目安として構図、サイズ、コンディションにより金額が変動します。ご売却をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
鑑定について
現在時点で所定鑑定機関は設立されていないため、現物を確認して判断させていただきます。過去に取り扱ってきた作品の多くに、ワレやシミなどのダメージが見受けられました。ダメージの程度にもよりますが評価額は下がるため、保管には注意が必要です。
絵画の買取について詳しくみる塗師祥一郎の作品
-
川辺(油絵)
雪の描写も十分です。10号サイズで買取金額は10万円です。
-
雪景色(油絵)
-
花の里(油絵)
良質な作品ですが、雪の描写がないと評価が下がります。