村上友晴

村上友晴の買取価格とポイント

1938年~現在に至る。
福島県田村郡三春町に生まれる。1961年、東京藝術大学日本画科を卒業。そのあと専攻科へ進学するも3ヶ月で中退し、日本画家としての道を歩き始める。1964年にグッゲンハイム国際賞展へ出品。そのときアメリカ抽象表現主義の作品に影響を受け、油彩・木炭粉を混ぜた絵具・アクリルなどで描く手法を生み出す。1960年代にデビューするも10年ほど活動を休止。そのあと現代美術家として復活。1979年、北海道のトラピスト修道院を訪れカトリック教会の信徒へ。同時期に初期版画集「PSALM I」も出版している。1981年に第16回サンパウロ・ビエンナーレへ作品を出品。1990年代から作風に変化が現れる。

広島市現代美術館の被爆70周年で、三部作第1部の「ライフ=ワーク」を出品。1991年ニューヨーク、1995年東京国立近代美術館、1996年京都国立近代美術館でも展覧会へ参加している。2010年、回顧展「静けさのなかから」を開催。2013年名古屋市美術館で開催された展覧会では、キリストの道行きを描いた「十字架への道」を発表。横田茂ギャラリーに多くの作品を展示している。

村上友晴
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村上友晴の作品の買取ポイント

村上友晴の作風

初期は、日本画顔料と油絵具を混ぜて描いた作品が多く存在しています。無題となる黒の絵画や紙による赤と黒の石版「東大寺修二会」など、黒い油彩画が中心。筆を使わずペインティングナイフで絵具を置きながら仕上げた作品は、独特の趣むきを感じさせるでしょう。回顧展で発表されたモノクローム作品は、彼の宗教観と荘厳な雰囲気を味わえるアートです。他の作家にはない静寂を持ちながら、凛とし空気を漂わせています。1990年代、白い紙の表面にニードルや鉛筆で繊細な痕跡を残して丁寧に削っていく手法は、思い描いた黒の絵を奥行ある姿で表現しているかもしれません。

1991年に描かれた「華厳8」は朱色を基調とし、絵具の塗り重ねと削られた層の組み合わせが重厚な世界を表現しています。2011年、タグチファインアートで展示された作品は人間の本質をテーマとし、漆黒で覆われた世界に朱色を射して抑制された心を反映しているでしょう。村上友晴の作品には、神へ祈りを捧げるような深い精神性と混沌とした社会への葛藤が込められています。線や形も存在しないため解釈が難しいと言われていますが、誰の胸にも眠るネガティブな気持ちや迷い、わずかな希望への瞬間を宗教的観念でとらえているのかもしれません。


村上友晴の現在の評価と価値

長く彼の作品を扱っている横田茂が、「これは絵画ではない」と発言しました。その意味はただ鑑賞するための作品ではなく、絵画を越えたところにある芸術。村上友晴はカトリックの洗礼を受ける前、黒の上に黒を塗る作品へどうしようもない不快感を抱きますが、自己表現を捨てることはできませんでした。そのため10年ほどブランクもあったわけですが、復帰してからは穏やかな心で自分と向き合い見事な作品を仕上げています。コンクリート打ち放しのアトリエから生み出される様々な作品は、現代人が忘れかけていた人間としての根源を感じさせるものでしょう。何者にもとらわれない無の境地や静かな感情の揺らぎが演出された作品は、国内外から高い評価を得ています。

何を描いているかすぐにわからなくても、手元に飾って眺めていれば不思議と発見できるかもしれません。彼の作品に無題が多いのは、見ている人が考えるアートだからです。どのような受け止め方をするかは人それぞれ。作品との出会いに刺激を受ける若者やその道のプロなど、ファン層は確実に広がっているので、展覧会や個展へ足を運ぶ人も増えています。

買取金額は作品の種類やサイズ等によって様々です。数十万円から100万円を超えるものまで多岐にわたります。モチーフとしては黒を基調とした作品が好まれる傾向です。現代のニーズとマッチしているため、タイミングを逃さず作品のご売却をご検討の場合はご相談ください。



村上友晴の代表作品