今井俊満の絵画・油絵・版画の買取価格とポイント
1928年 ~2002年 物故作家。
京都府生まれ。幼少時に大阪市船場安土町に移り住み、大阪市立船場尋常小学校卒業後、1941年に上京して武蔵高等学校尋常科に入学する。単身でフランスに私費留学。留学中、サム・フランシスを知り、紹介で美術評論家ミッシェル・タピエを知る。この頃から、抽象表現主義であるアンフォルメル運動のジョルジュ・マチュー、ジャン・デュビュッフェ、ポール・ジェンキンス等の画家たちと交友するようになり、自らも運動に加わった。国内のアンフォルメル絵画の橋渡し役として大きな功績を残す。日本とパリを拠点に活躍した。
2023年に苫小牧市美術博物館で「縄文≒現代~共鳴する美のかたち」が開催された。
買取ポイント
今井俊満の作風
今井俊満といえば<時代の先端>を目指した作家でしょう。変化を恐れず、自分自身が良いと思ったもの、表現したものを積極的に形にしてきました。また、上で述べましたが日本抽象画と世界をつなぐ功績を残し、今井俊満がいなければ日本の抽象画界はここまで評価されてなかったかもしれません。最盛期の抽象、絢爛豪華な花鳥風月シリーズ、晩年のコギャルシリーズ、と同じ作家かと思えない変容ぶりも魅力の一つです。近年再評価されている作家になります。
今井俊満の現在の評価と価値
没後20年弱経過した現在でも相場が残る作家のひとりで、近年再評価されています。高価買取のポイントは<制作された時代>です。上で挙げたように、今井俊満の作風は大きく3つに分けることができます。順に見ていきましょう。
① アンフォルメル全盛期
今井俊満の作品は60年代~70年代の抽象作品が最も評価が高いです。抽象画のトレンドでサイズが大きいものが多く、100号以上の作品もあります。サイズも重要なポイントですが、暗く引き込まれそうな混沌とした図柄が最も高価買取しやすいです。
制作されてから期間が経っているため、ワレ等のダメージが出ている作品が多いです。現在、所定鑑定機関はありませんので現物を拝見させていただき判断します。
② 花鳥風月の時代
80年代~90年代に良く描かれた様式です。琳派を彷彿させる華やかな具象作品で桜・梅等の花々を描きました。アンフォルメルの時代と比べると180度作風が異なり、同じ作家が生み出したものとは到底考えられません。アンフォルメル全盛期に比べると落ち着いた価格帯となります。
③ 最晩年のコギャル・人物
亡くなる数年はコギャルや人物をモチーフにした作品を制作しました。この時代の作品は、ジャン・デュビュッフェが提唱した「アール・ブリュット(生の芸術)」のように、芸術を体系的に学んでない人が描いたようです。キャンバスではなく紙にエナメルで描かれています。買取査定額は数万円台となり、今井俊満の作風では最も厳しい評価になるかもしれません。
今井俊満の作品
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紅葉図(ミックストメディア)
花鳥風月期の作品です。
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女(紙にエナメル)
最晩年の作品です。時代を反映したセンセーショナルな作品です。
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四季図(版画)
シルクスクリーンで制作された作品です。