長谷川潔

長谷川潔の版画・パステルの買取価格とポイント

1891年~1980年 物故作家。
神奈川県横浜市生まれ。麻布中学卒業後、黒田清輝の葵橋洋画研究所に入り素描を学んだのち、本郷洋画研究所で岡田三郎助、藤島武二に油絵を学ぶ。1913年から自画自刻による木版画、銅版画の制作を始め、以後版画の研究、制作に専念する。1914年には来日中のバーナード・リーチに銅版画法について尋ねる。1916年に初の版画家グループ「日本版画倶楽部」を結成し、創作版画展を開催する。1918年から渡仏し、以来パリで制作を続ける。1935年にレジオン・ドヌール勲章を受章する。1966年にフランス文化勲章を受章、翌年パリ市の金賞牌が授与されるなど、日本よりフランスの方で早くから評価がされ、1972年には、フランス国立貨幣、賞牌鋳造局の肖像メダルに、日本人では葛飾北斎、藤田嗣治につぐ三人目として刻される。代表作に<南仏古村><オランジュと葡萄>などがある。
2023年に稲沢市荻須記念美術館で「市制65周年開館40周年記念 特別展 長谷川潔展 -京都国立近代美術館コレクション-」が開催された。

長谷川潔

長谷川潔の最新買取情報

  • 小鳥と魚の友愛(マニエル・ノワール)

    60

  • 瓶に挿した種草(マニエル・ノワール)

    40

  • サン・ポール・ド・ヴァンスの村(マニエル・ノワール)

    15

  • 金魚鉢の中の小鳥(ポアントセッシュ)

    14

買取ポイント

長谷川潔の作風について

長谷川潔といえば、<マニエル・ノワール>の技法で制作された版画作品ではないでしょうか。マニエル・ノワールと呼ばれる古い版画技法を復活させ、独自の様式として確立させました。白い画面に黒い線を描くのが銅版画の歴史を変え、黒い画面を生み出しました。この技法は一流の刷師ではないと再現できず、1970年に刷師のケネヴィルが亡くなったことにより、長谷川は活動を止めてしまいます。
マニエル・ノワールは銅版画の一種で、英訳するとメゾチントと呼ばれ、こちらの名称の方が一般的かもしれません。

銅版画以外にもパステルや油絵の作品も残しています。長谷川潔は作品の種類により評価が変わりますので順に見ていきましょう。

長谷川潔の現在の評価と価値

① 版画
マニエル・ノワール以外にもビュラン・ポアントセッシュ・エッチングなど様々な銅版画技法を使い後世に作品を残しました。それぞれの技法に良さはありますが、最も評価が高いのはマニエル・ノワールで制作された作品です。買取価格は数十万円の前半から100万円以上と様々です。マニエル・ノワール以外の技法ですと、落ち着いた買取価格になるでしょう。

長谷川潔の版画で高いか安いかを見分けるポイントは画面上に紙の色が見えているかどうかです。マニエル・ノワールで摺られている作品は画面が黒で構成されていますが、それ以外の技法で摺られている作品は余白が多いため紙の色が見えます。
当然ですが版画作品はシミ等のダメージが出ていると買取金額が下がります。

② 水彩・パステル・鉛筆
紙に直筆で描かれた作品です。長谷川潔の水彩画作品は下絵として描かれたものが多い印象です。直筆サインもあればスタンプサインもありますので、種類により評価が分かれます。

③ 油絵
キャンバスに油絵の具で描かれた作品です。作品数は多くないため、評価が難しいジャンルです。査定依頼をいただいたタイミングで判断できればと思います。

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長谷川潔の最も評価が高い作品は?

買取時において最も評価が高いのは、希少で珍しい作品ではなく代表的な作品です。

長谷川潔の代表的な作品はマニエル・ノワール(英語名はメゾチント)で制作されたものです。特に黒を中心として表現された作品は高価買取が期待できます。
長谷川潔は漆黒の作家です。戦後の黒中心で構成された作品が高い評価を得て、特に最晩年の60年代の作品は多くの逸品を生み出しました。少ないながらも手彩色で色を付けている作品もあり、このような作品も高価買取しやすいです。

また上記でも少し触れましたが買取時において作品のコンディションも重要です。鑑賞する立場としてはキレイな見た目の方が好ましいため、ダメージ(シミやカビ)などが発生していると評価額が下がる傾向です。

長谷川潔の代表作品

  • 時 静物画

    時 静物画

    (1969年)

    長谷川潔の代表作の1つです。マニエル・ノワールで制作された版画作品で、買取査定額は150万~200万円前後となります。手彩付きの作品は更に高くなります。

  • アレキサンドル三世橋とフランスの飛行船

    アレキサンドル三世橋とフランスの飛行船

    (1930年)

    マニエル・ノワールで制作された版画作品です。買取査定額は80万~120万円前後となります。

  • コップに挿した野花 (秋)

    コップに挿した野花 (秋)

    (1951年)

    ビュランで制作された版画作品です。マニエル・ノワールの作品と比べると評価は下がります。買取査定額は数万円代となります。

  • 教会への道「ロエ村」

    教会への道「ロエ村」

    (1928年)

  • コップに挿した種子草

    コップに挿した種子草

    (1961年)

  • コップのダリア

    コップのダリア

    (1935年)

  • オランジュと葡萄

    オランジュと葡萄

    (1932年)

  • ジロスコープのある静物画(1966

    ジロスコープのある静物画

    (1966年)

  • 晩餐会メニュー用版画

    (1956年)