浜田知明

浜田知明のブロンズ・版画の買取価格とポイント

1917年~2018年 物故作家。
熊本県生まれ。1939年に東京美術学校油画科を卒業する。当時は版画科目が必修ではなく、モグリで教室に通う。1939年に入隊し中国大陸に派遣される。終戦後の1946年に熊本県立熊本商業学校に勤務するが、1948年に同学校を退職し上京する。1950年に駒井哲郎や関野準一郎を訪ねて銅版画の研究をはじめる。1956年に第2回現代日本美術展において「よみがえる亡霊」及び「副校長D氏像」で受賞。第4回ルガノ国際版画展において「初年兵哀歌(歩哨)」で受賞。以後、国内外を問わず数々の賞を受賞する。
2023年に徳島県立近代美術館で「所蔵作品展 2023年度 II『祈りと幻想』」、熊本市現代美術館で「CAMKコレクション展 Vol. 7 未来のための記憶庫」が開催された。

浜田知明
浜田知明のウェキペディア

浜田知明の最新買取情報

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買取ポイント

浜田知明の作風

浜田知明といえば、<人間>を題材にした版画作品ではないでしょうか。油絵では浜田知明が表現したい鋭さが出せません。切り裂くような細かい描写ができる銅版画を終生のテーマにしたのは必然といえます。浜田が描いたのは社会や人間、そして自分自身の諷刺です。鋭くユーモラスな主題と造形で社会の本質を突き、弱く愚かな人間への愛を作品にこめました。
芸術とは鑑賞者に『何か』を与えることだと思います。それは美しさや快適さだけではありません。浜田知明はこの世の中に蔓延する不条理を作品に込めて、鑑賞者に考えさせることを目的としていたのではないかと感じます。

浜田知明の代表作

エッチングの特徴である細かい線を巧みにつかい、独特な世界観を表現しています。銅版画をメインに制作活動をしていましたが、ブロンズなどの造形物も高い評価を得ています。
銅版画の代表作は『初年兵哀歌』のシリーズでしょう。確認できるだけで13枚制作されています。上に掲載している画像は初年兵哀歌(歩哨)という作品で、シリーズの中でも高い評価を得ています。戦争の悲惨さとその不条理を告発しつづけた作品といわれています。浜田知明は戦争のテーマから離れた社会風刺作品も数多く制作してきました。表面的な美しさを求めた作品も、制作までのコンセプトを重視した作品も、表現力ではなく技術力に特化した作品も美術品です。美術品という概念が広がる中で社会派芸術を生み出した浜田知明の功績は大きいでしょう。

浜田知明の現在の評価と価値

銅版画作家の中でも最も評価されている作家のひとりです。版画作家の中で見ても市場評価が高いと言えます。ただ、すべての作品が高い訳ではなく、作品の種類や技法によって金額が大きく変わる作家です。簡単に判別しやすい銅版画とブロンズを分けて見ていきましょう。

①版画(銅版画)
初年兵哀歌などを含む浜田知明の人気作は数十万円台から100万円以上まであります。他にも代表作はありますが、人気作品以外は数万円台の可能もあり得ます。

②ブロンズ
ブロンズの方が版画よりも金額の振れ幅は少ない傾向です。どの作品も相場が安定しています。

版画は保存状態によりシミなどのダメージがでる場合があります。古い作品は50年以上経過しているため、ダメージが出ている作品は多い印象です。状態により評価が変わります。現物の確認後に最終的な判断をさせていただきます。ご売却をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

版画の買取について詳しくみる

浜田知明の作品

  • 初年兵哀歌(銃架のかげ)

    (1951年)

    エッチング・アクアチントで制作された作品です。立てかけられた銃の陰にある物体は何をイメージしているのでしょうか。初期の名作です。

  • 初年兵哀歌(便所の伝説)

    (1951年)

    メゾチントで制作された作品です。限定部数も計15部と少なく、希少な作品です。浜田知明の代表作の1つです。

  • ボタン(A)

    (1988年)

    エッチング・アクアチントで制作された作品です。キノコ雲が印象的な作品です。買取査定額は20万~30万円前後です。

  • いらいら(B)

    (1975年)

    エッチング・アクアチントで制作された作品です。限定部数は50部と、EP版が10部あります。買取査定額は5万円です。

  • ボタンを押す人

    (1990年)

    ブロンズ作品で計11体制作されています。浜田知明は【ボタンを押す行為】を好んで作品にしています。買取査定額は40万~60万円前後です。

  • 気になる正体

    (1985年)

    ブロンズ作品で計11体制作されています。お互い過度に干渉すると実態が見えないという意味合いでしょうか。鑑賞者によって様々な見解がでそうな作品です。