ジャスパー・ジョーンズとロバート・ラウシェンバーグは、アメリカにおけるネオダダやポップアートの先駆者といえます。今回取り上げるジャスパー・ジョーンズは、エンカウスティーク(エンコスティック)という古代から伝わる絵画技法をその作品の中でしばしば利用し、国旗や標的のようなもともと二次元的な対象物を絵画として描きました。
この記事では、アメリカを代表するアーティストのひとりとして近年人気の高まっているジャスパー・ジョーンズの、略歴や代表作品について紹介します。
ジャスパー・ジョーンズは、1930年にジョージア州のオーガスタに生まれました。幼いころから絵を描くのが好きで、5歳頃にはすでに「芸術家になりたい」と考えていたそうです。
ジャスパー・ジョーンズは、サウスカロライナ大学コロンビア校に通ったのち、美術教師に促されて1948年の後半にニューヨークに向かいました。ニューヨークではパーソンズ美術学校に1学期通いましたが、その後徴兵されて朝鮮戦争に2年間従軍します。
除隊後、1954年頃からアメリカ国旗や標的などを題材にして絵画を制作し始め、同時期にロバート・ラウシェンバーグという芸術家に出会います。ジャスパー・ジョーンズの初めての個展は、ニューヨークの美術商レオ・カステリのギャラリーで行われました。レオ・カステリがラウシェンバーグを訪れたときにジャスパー・ジョーンズの才能に気がつき、そこから個展につながったといわれます。
互いに刺激を与え合いながら自らの芸術を高めていったジャスパー・ジョーンズとロバート・ラウシェンバーグは、やがてアメリカにおけるネオダダやポップアートの先駆者として活躍するようになりました。
1963年、ジャスパー・ジョーンズは友人のジョン・ケージと共に、現代パフォーマンス芸術財団を設立しました。現在、現代美術財団(FCA)と呼ばれているこの財団では、今もさまざまな助成金制度を通じてアーティストや芸術団体を支援しています。
現在、ジャスパー・ジョーンズはコネチカット州のシャロン及びマーティン島で制作に励んでいます。
ジャスパー・ジョーンズが好んで取り上げた題材には、アメリカ国旗、アメリカ50州の地図、ダーツの標的、数字や文字などがあります。それらを描いた作品のなかから、ジャスパー・ジョーンズの代表作品を紹介します。
1954年に自分がアメリカ国旗を描いている夢を見たジャスパー・ジョンズは、それをきっかけにアメリカ国旗を描いた作品を多く制作しました。
48の星と赤と白の縞模様で構成されたこの作品は、エンカウスティークという技法で描かれています。エンカウスティークは、着色した蜜蝋を溶かして画面にのせることで絵を描く古代の絵画技法で、半透明な色味と保存性の高さが特徴です。縞模様の下には、新聞紙がコラージュされているのがうっすらと見えます。
ジャスパー・ジョーンズが地図をモチーフとしたのは、ロバート・ラウシェンバーグから地図を贈られたことがきっかけだったといわれています。画像の『地図』は、1961年にジャスパー・ジョーンズがキャンパスに油彩で描いたもので、ダイナミックなタッチとステンシル文字で表現された土地名が特徴です。
ジャスパー・ジョーンズは地図を描いた作品をその後も制作しており、1967 年から 1971年にかけてはダイマクション地図(地球を多面体として捉えたうえでそれを展開した地図)を用いて制作しています。
ジャスパー・ジョーンズの『4つの顔のある標的』は、標的の上(画面上部)に立体的なオブジェを配置しているのが特徴です。標的が黄色と青で交互に塗りわけられており、背景には赤い色が塗られています。
標的は、ジャスパー・ジョーンズにとってよほど魅力的な題材だったのでしょう。『4つの顔のある標的』の他にも標的だけを描いた作品や画面上部に石膏の型を配置した個性的な作品も存在します。白い色で描かれたものやピンク、白、緑などで描かれたものもあり、バリエーション豊かな作品群となっています。
ジャスパー・ジョーンズの『False Start』は、『地図』と同じようにダイナミックなタッチとステンシル文字で構成されています。「オレンジ」という単語を白い色で表現するなど、色を示す単語と文字の色をあえて一致させないことで、観る者の混乱を誘うおもしろい作品です。
『False Start』は、2006年のサザビーズオークションで78億円という高値で落札されて、大きな話題になった作品でもあります。
『3つの旗』は『旗』のバリエーション作品のひとつといえるでしょう。ジャスパー・ジョーンズはこの作品を『旗』と同じように、エンカウスティークという技法で制作しました。ただし、キャンバスに描かれた旗が3つ重ねられているのがこの作品のユニークな点です。
上に重ねられている星条旗は、下の星条旗の約4分3の大きさに縮小されています。遠近法では遠くにあるものほど小さく描きますが、この作品ではその逆をやっているというのもおもしろい点です。
『White Flags』も『旗』のバリエーション作品のひとつです。ただし、ジャスパー・ジョンズはこの作品を星を描いている部分、星の右側にあたる部分、これら2つの下に位置する横長の部分という3つの部分にわけて制作しました。ジャスパー・ジョーンズはこの作品で、3つのキャンバスにそれぞれを描いた後で、それをつなぎ合わせて1つの作品に仕立てるという試みを行ったのです。
見慣れたアメリカ国旗を白一色で描いた『White Flags』は、独特の雰囲気を持つ人気の高い作品です。
身のまわりにあるありふれたものに価値を見出し、そのままアートとして再現して見せたジャスパー・ジョーンズは、アメリカにおけるネオダダやポップアートの先駆者といえます。
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この記事では、アメリカを代表するアーティストのひとりとして近年人気の高まっているジャスパー・ジョーンズの、略歴や代表作品について紹介します。
旗の作品で有名になったジャスパー・ジョーンズの略歴
ジャスパー・ジョーンズは、1930年にジョージア州のオーガスタに生まれました。幼いころから絵を描くのが好きで、5歳頃にはすでに「芸術家になりたい」と考えていたそうです。
ジャスパー・ジョーンズは、サウスカロライナ大学コロンビア校に通ったのち、美術教師に促されて1948年の後半にニューヨークに向かいました。ニューヨークではパーソンズ美術学校に1学期通いましたが、その後徴兵されて朝鮮戦争に2年間従軍します。
除隊後、1954年頃からアメリカ国旗や標的などを題材にして絵画を制作し始め、同時期にロバート・ラウシェンバーグという芸術家に出会います。ジャスパー・ジョーンズの初めての個展は、ニューヨークの美術商レオ・カステリのギャラリーで行われました。レオ・カステリがラウシェンバーグを訪れたときにジャスパー・ジョーンズの才能に気がつき、そこから個展につながったといわれます。
互いに刺激を与え合いながら自らの芸術を高めていったジャスパー・ジョーンズとロバート・ラウシェンバーグは、やがてアメリカにおけるネオダダやポップアートの先駆者として活躍するようになりました。
1963年、ジャスパー・ジョーンズは友人のジョン・ケージと共に、現代パフォーマンス芸術財団を設立しました。現在、現代美術財団(FCA)と呼ばれているこの財団では、今もさまざまな助成金制度を通じてアーティストや芸術団体を支援しています。
現在、ジャスパー・ジョーンズはコネチカット州のシャロン及びマーティン島で制作に励んでいます。
ジャスパー・ジョーンズの有名な代表作品を紹介
ジャスパー・ジョーンズが好んで取り上げた題材には、アメリカ国旗、アメリカ50州の地図、ダーツの標的、数字や文字などがあります。それらを描いた作品のなかから、ジャスパー・ジョーンズの代表作品を紹介します。
旗/Flag
1954年に自分がアメリカ国旗を描いている夢を見たジャスパー・ジョンズは、それをきっかけにアメリカ国旗を描いた作品を多く制作しました。
48の星と赤と白の縞模様で構成されたこの作品は、エンカウスティークという技法で描かれています。エンカウスティークは、着色した蜜蝋を溶かして画面にのせることで絵を描く古代の絵画技法で、半透明な色味と保存性の高さが特徴です。縞模様の下には、新聞紙がコラージュされているのがうっすらと見えます。
地図/Map
ジャスパー・ジョーンズが地図をモチーフとしたのは、ロバート・ラウシェンバーグから地図を贈られたことがきっかけだったといわれています。画像の『地図』は、1961年にジャスパー・ジョーンズがキャンパスに油彩で描いたもので、ダイナミックなタッチとステンシル文字で表現された土地名が特徴です。
ジャスパー・ジョーンズは地図を描いた作品をその後も制作しており、1967 年から 1971年にかけてはダイマクション地図(地球を多面体として捉えたうえでそれを展開した地図)を用いて制作しています。
4つの顔のある標的/Target with Four Faces
ジャスパー・ジョーンズの『4つの顔のある標的』は、標的の上(画面上部)に立体的なオブジェを配置しているのが特徴です。標的が黄色と青で交互に塗りわけられており、背景には赤い色が塗られています。
標的は、ジャスパー・ジョーンズにとってよほど魅力的な題材だったのでしょう。『4つの顔のある標的』の他にも標的だけを描いた作品や画面上部に石膏の型を配置した個性的な作品も存在します。白い色で描かれたものやピンク、白、緑などで描かれたものもあり、バリエーション豊かな作品群となっています。
False Start
ジャスパー・ジョーンズの『False Start』は、『地図』と同じようにダイナミックなタッチとステンシル文字で構成されています。「オレンジ」という単語を白い色で表現するなど、色を示す単語と文字の色をあえて一致させないことで、観る者の混乱を誘うおもしろい作品です。
『False Start』は、2006年のサザビーズオークションで78億円という高値で落札されて、大きな話題になった作品でもあります。
Three Flags
『3つの旗』は『旗』のバリエーション作品のひとつといえるでしょう。ジャスパー・ジョーンズはこの作品を『旗』と同じように、エンカウスティークという技法で制作しました。ただし、キャンバスに描かれた旗が3つ重ねられているのがこの作品のユニークな点です。
上に重ねられている星条旗は、下の星条旗の約4分3の大きさに縮小されています。遠近法では遠くにあるものほど小さく描きますが、この作品ではその逆をやっているというのもおもしろい点です。
White Flags
『White Flags』も『旗』のバリエーション作品のひとつです。ただし、ジャスパー・ジョンズはこの作品を星を描いている部分、星の右側にあたる部分、これら2つの下に位置する横長の部分という3つの部分にわけて制作しました。ジャスパー・ジョーンズはこの作品で、3つのキャンバスにそれぞれを描いた後で、それをつなぎ合わせて1つの作品に仕立てるという試みを行ったのです。
見慣れたアメリカ国旗を白一色で描いた『White Flags』は、独特の雰囲気を持つ人気の高い作品です。
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身のまわりにあるありふれたものに価値を見出し、そのままアートとして再現して見せたジャスパー・ジョーンズは、アメリカにおけるネオダダやポップアートの先駆者といえます。
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