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井上萬二の作品の鑑定相場を紹介|代表作品や略歴も解説

井上萬二は半世紀以上にわたり、有田焼のなかでもとりわけ白磁に優れた作品を制作する陶芸家です。白磁の特徴である「白色」に魅せられた彼は、ろくろの技術を習得して研究し、独特のデザインの作品を数多く残してきました。

1996年に人間国宝として指定され、93歳になった現在もなお精力的に制作に励んでいます。井上萬二の作品は海外でも評価されており、国内外に数多くの教え子がいます。有田焼の白磁の魅力を海外に伝えた陶芸家のひとりです。



井上萬二の作品の買取価格相場

ここでは井上萬二の作品の買取価格相場について解説します。彼の作品はヤフオクなどのオークションサイトでも多く出回っており、比較的手頃な価格で入手できます。しかし、他の作品と同様にレアな作品になるほど価格が高くなる傾向にあります。


白磁香炉(はくじこうろ)

香炉とは線香を焚く際に用いる道具のことです。白磁香炉は有田焼の特徴である透き通るように白い磁肌、そしてつるんと丸みがかったシンプルで上品なデザインが魅力となっています。

白磁香炉のオークションでの相場は数千円から数万円程度となっており、比較的手頃な価格で入手できます。また、オークションで出回っている数量も多いです。もちろんですが、新品できれいな状態の商品であればあるほど高額な価格で売れやすい傾向にあります。


白磁緑釉牡丹彫文

白磁緑釉牡丹彫文とは、有田焼の特徴である白い磁肌に、薄い緑色の牡丹が描かれている作品群のことです。茶道具や菓子鉢、花瓶などの骨董品が代表的な作品となっています。上品で洗練されたデザインが際立っており、東洋的な美しさと西洋的な美しさが混在しているように感じさせられます。有田焼のなかでも和洋折衷を取り入れた井上萬二の作品が海外で好評であるというのも頷けます。

白磁緑釉牡丹彫文のオークションでの相場は数万円から十万円程度となっています。なお、弟子の作品は比較的手頃な価格で入手しやすいです。


白磁黄緑釉公孫樹文耳付花瓶

白磁黄緑釉公孫樹文耳付花瓶とは、有田焼の特徴である白い磁肌に、薄い緑色で紋様が描かれた花瓶です。洗練された上品でつるんとしたシンプルなボディが魅力的です。高さは40センチほどあり、大きめなサイズとなっています。

白磁黄緑釉公孫樹文耳付花瓶のオークションでの相場は数十万円程度となっており、オークションで出回っている品数も少ないためか比較的高価格です。出品する際は新品に近いきれいな状態であるほど高く売れやすい傾向にあるといえるでしょう。またレアな商品になるほどさらに高価格となります。



井上萬二の作品を高価格で買い取ってもらう方法

ここでは、井上萬二の作品を高価格で買い取ってもらう方法についてお伝えします。ポイントとしては新品同様のきれいな状態を保てるよう保存環境に気をつけることや、実績のある専門店に買取を依頼することです。


入手直後の場合はきれいな状態で買取依頼できるように保存環境に気を配る

作品を高価格で買い取ってもらうためには、作品がきれいな状態であることが大切です。そのためには保存環境に気をつけなくてはならず、井上萬二の作品のような磁器の場合は、温度の高い場所を避けること、湿度管理を徹底すること、そして直射日光を避けることがマストです。また、作品ごとに丁寧に梱包したり、こまめに作品の状態を確認することも保存するうえで大切なことといえるでしょう。きれいな状態の作品であるほど高く買い取ってもらいやすくなります。


実績の高い美術品買取の専門店に買取を依頼する

作品を高価格で買い取ってもらうためには、実績の高い専門店に買取を依頼することも大切です。さまざまな専門店があるなかで信頼性の高い専門店を見つけるのは難しいですが、買取の実績やGoogleの口コミを参考にすると良いでしょう。また、気になる専門店には自ら足を運んで、スタッフと会話をしたり、店の雰囲気やお客様への対応を見ながら「ここなら信頼できるな」という直感で選ぶのも大切です。

獏では多くの作品の査定実績があります。買取に迷われている方はぜひ一度当店もご検討ください。



井上萬二の代表作品を解説

ここでは、井上萬二の代表作品である「白磁青海波文丸形壷」、「青白磁桃彫文珈琲碗」、「錦花鳥文壷」、「白磁渦文花瓶」、そして「白磁緑釉金魚彫文面取花瓶」について解説します。


白磁青海波文丸形壷

青白磁桃彫文珈琲碗は開窯50年記念作品で、丸型壺に吉祥文である青海波を施した作品となっています。重厚感ある白磁の壷は井上萬二の真骨頂で、磨け上げられたろくろ技術から作り出された造形美となっています。


青白磁桃彫文珈琲碗

青白磁桃彫文珈琲碗は白磁に青色を施したコーヒーカップです。上品で洗練された小ぶりなコーヒーカップとなっています。柔らかな青色が特徴的です。


錦花鳥文壷

錦花鳥文壷は、丸型壺に色鮮やかな花や鳥を描いた作品となっています。花鳥の細やかな描写が雅で、飾り物にぴったりの作品といえるでしょう。


白磁渦文花瓶

白磁渦文花瓶は鳴門海峡の渦潮から着想を得たという、らせん状の文様が特徴の花瓶です。流線形のデザインを生み出すには彫琢されたろくろの技術が必要になります。井上萬二のろくろの技量をうかがい知れる作品です。


白磁緑釉金魚彫文面取花瓶

白磁緑釉金魚彫文面取花瓶は、白磁の壺に緑色で金魚が描かれた花瓶です。金魚は出目金で、ふくよかなシルエットがキュートです。井上萬二の自然への優しい眼差しを感じさせる作品です。



井上萬二の略歴

井上萬二は、戦後から活動している陶芸家です。有田焼の産地である有田で生まれ、独特な作風の有田焼を制作しています。彼は国外でも著名な作家として知られており、海外でも教鞭を取ったり、個展を開催しています。現在も精力的に活動を続け、後継者の育成に励んでいます。


1967年:九州山口陶磁展 文部大臣奨励賞2回

井上萬二は1929年に佐賀県の有田町で生まれました。生家は窯元であったものの、軍人を目指し、1944年には海軍飛行予科練習生となりました。その後1945年より父のすすめによって陶芸家である13代目酒井田柿右衛門のもとで働き始めました。修行中に奥川忠右衛門の作品に感銘を受け、門下生となり白磁やろくろの技法を学びました。

1958年からは県立有田窯業試験場の技官として働き始め、その傍らで独自の意匠や釉薬の研究に勤しみました。同年より佐賀県展に入選するほか、知事賞、美術協会賞を受賞、1967年には九州山口陶磁展にて文部大臣奨励賞を受賞しました。


1979年:労働大臣表彰

1969年には井上萬二は、ペンシルベニア州立大学から有田焼の講師として招かれて渡米し、海外でも活躍するようになりました。その後は、ドイツで個展を開いたり、2002年3月のモナコ国王の在位45年記念の展覧会を開くなど海外でも知られています。

また、1968年には第15回日本伝統工芸展にて初入賞しました。その後も数々の賞を受賞しています。1979年には現代の名工として労働大臣からの表彰を受けました。


1980年代~1990年代:数々の賞を受賞

1980年代から1990年代の井上萬二は、数々の賞を受賞しています。1986年には佐賀県芸術文化功労賞を、1989年には日本伝統工芸展文部大臣賞を、1993年には佐賀県県政功労賞を、1997年には紫綬褒章受章を受賞しました。また、1995年には重要無形文化財「白磁」保持者に認定されています。


1980年代~2000年代:ニューメキシコ州立大学にて授業

1980年代から2000年代には井上萬二は、ニューメキシコ州立大学にて教鞭を取りました。教師としての活動は現在もしており、現在は美術教育学部教授となっています。また、美術指導として17回渡米しています。


2023年現在:日本工芸会参与 有田町名誉町民 井上萬二は後継者の育成に力を注いでいる

2000年代以降の井上萬二は、作品制作や大学で教鞭を取る傍ら、日本国外でも個展を開催するなど精力的に活動しています。2023年現在では日本工芸会に参与し、有田町名誉町民となっています。後継者の育成に力を注ぎつつ、佐賀大学有田キャンパスにてセラミック専門顧問となっています。教え子は日本では500人、アメリカでは150人を超えています。



井上萬二の世界観

井上萬二は有田焼、そのなかでも特に白磁やろくろの技法を学びました。また、県立有田窯行試験場の技官として勤務を続ける傍らで独自の意匠や釉薬の研究に励みました。彼は形だけで表現する白磁の世界に見入り、半世紀以上にわたり作品を制作しています。

井上萬二の「完璧なモノに『色』はいらない。私が追求する『白磁』は、一点の濁り、一点の歪みも許されない」という言葉通り、作品の形は上品かつユニークで、独自のデザインをしています。国内外でも人気である彼の作品は、そのクリエイティビティが高く評価されています。



獏では井上萬二の作品など骨董品を高価格で買取中

現在獏では井上萬二の作品などの骨董品を高価格で買取しております。骨董品は美術作品と異なり、作家という概念が希薄になりやすいジャンルです。しかし、獏では作品を見る目と適切な販売経路から作品ごとに最適な金額をご提案いたします。


獏の骨董品の買取価格の評価・査定方法

骨董品の価格は、ほぼ需要と供給の関係で決まるため、美術と違って欲しい人がいればその分買取価格が高額になります。また、作品の希少性も高額買取に大切なポイントとなります。

比較的新しい作品は材料費や人件費等の経費から販売価格が算出されますが、古い作品になると二次流通では仕入れ値自体が相場に反映されて決定されるために、値段の決定方法が通常の場合と異なります。骨董品では作品自体の価値や状態のほか、需要と供給も買取価格に加味されます。


獏の骨董品買取価格の設定方法

獏は日々鮮度が高い情報を仕入れてダイレクトに買取価格へ反映しています。また、幅広い流通経路を構築することで高価買取できる方法を模索しております。

骨董品には美術作品のようなわかりやすい買取基準がなく、専門店ごとに買取価格が異なるのが現状です。そのために相場が不安定になりがちなジャンルでもあります。オークションなどで出品するには価値判断は難しいかと思われます。骨董品をどこで買い取ってもらうかお悩みの方はぜひ一度獏へお越しください。



井上萬二の作品は2023年6月22日(木) ~ 2023年7月2日(日)に開催される個展にて鑑賞可能

井上萬二の作品は2023年6月22日から7月2日にかけて東京・銀座のセイコーハウス銀座ホールにて開催される個展「井上萬二白磁展―清新 麦のごとく―」にて鑑賞できます。今回は「麦」をテーマにした作品が展示され、作品からは麦の生命力を感じさせられます。また、当展覧会では白磁作品のかたちの美しさを間近に感じられるでしょう。井上萬二作品の美に迫った展覧会です。
詳細: https://abc0120.net/2023/04/07/101666/


井上萬二に関するトリビア(豆知識)

ここでは、井上萬二に関するトリビアを紹介します。彼の作品は日本国外でも評価されており、海外でも個展を開いたり、教え子が数多くいます。また、現在は後継者を育成する中で、孫が陶芸家として活動しており、孫と共に制作を続けています。


井上萬二の作品は日本のみならず世界で評価されている

井上萬二の作品は日本だけではなく海外でも評価されています。彼は海外でも教鞭をとっていたため、海外での知名度が高い陶芸家です。実際にドイツや香港、ニューヨーク、ポーランドで個展を開催しています。彼のアメリカでの教え子が150人を超えていることは、現に彼が海外で知られている証拠として挙げられるでしょう。


井上萬二の後継者には孫である井上祐希が陶芸家とし
て活動している

井上萬二は現在、後継者を育成しています。後継者としては子である井上泰徳、孫である井上祐希といった陶芸家がいました。子・泰徳が亡くなった現在、彼は孫と共に窯と平屋建てのギャラリーを構えつつ、有田焼の中でも白磁に徹するという独特の制作を続けています。



井上萬二の作品の買取価格は獏へご相談ください

井上萬二は、有田焼のなかでもとりわけ白磁を突き詰めた作品を長きにわたり制作し続ける陶芸家です。風格とユニークさを併せ持った作品が特徴です。93歳となった現在でも精力的に活動し、国内外に多くの教え子がいます。

当店では現在井上萬二作品の買取を強化しています。骨董品は価値の判断が難しいため、スタッフが念入りに査定いたします。また、陶芸作品だけでなく、茶道具や絵画など幅広く買取いたします。買取の流れや買取実績、ご不明点などございましたらお気軽にお問い合わせください。