「在野派」中川一政の略歴
1893年~1991年 物故作家。
東京都生まれ。文学に関心をもつ一方、油絵を独学で学ぶ。岸田劉生主宰の草土社に参加する。1922年に小杉放庵・梅原龍三郎らと春陽会設立に参加する。油絵、水墨、版画、陶芸、詩作、和歌、随筆、書などの作品全てが独学で、多彩な作品を制作し後世に残す。「在野派」と自ら称した。後世の画家の育成にも力を入れる。1989年に真鶴町立中川一政美術館が開館する。1990年にフランスのパリ市立カルナバレ美術館にて現代日本絵画巨匠(奥村土牛・中川一政)二人展を開催する。1991年に永眠する。享年97歳11ケ月。
2023年に真鶴町立中川一政美術館で「2023年コレクション展Ⅲ:生誕130年記念 中川一政詩書画一致の境地」が開催された。
中川一政の油絵・日本画・書画・版画の買取ポイント
中川一政の作風について|「薔薇」など花がモチーフの荒々しいタッチが魅力
中川一政といえば<花>をモチーフにした作品ではないでしょうか。
薔薇を中心に、向日葵や椿など様々な花を描いてきました。ゴッホやセザンヌ作品に影響を受け、フォービズムのような荒々しいタッチが特徴的です。ダイナミックな筆使いに単純化されたモチーフ、そして暖色を中心とした感性豊かな色の出し方は唯一無二の存在でしょう。構図をシンプルにすることによって、対象物の魅力を凝縮させています。額縁も自身で作るこだわりがあり、既製品では味わえない荒々しさが、作品の魅力を格段に上げています。既製品の額縁でも問題ありませんが、作家手作りの額に入っている方が高評価しやすいです。
中川一政の現在の評価と価値
高価買取のポイントは、<薔薇>や<向日葵>でしょう。中川一政は数多くの薔薇を残しまし、その中でも力強い赤やオレンジが使われていると高額買取しやすいです。しかしながら、技法により評価は分かれますので順に説明します。
①油絵
キャンバスに油彩で描かれた作品が最も評価が高いです。ただ、モチーフにより大きな開きがあり代表作の<薔薇>が良いとされています。それ以外のモチーフです薔薇に比べると評価は低くなる傾向です。油絵は保存状態によりシミなどのダメージがでる場合があります。
②岩絵の具方式
紙に岩彩で描かれている作品で、ほぼ日本画と思っていいただいて大丈夫です。油絵作品よりは評価が下がり、数十万円代の買取価格が多いのではないでしょうか。構図や描き込み具合が良いと100万円以上の可能性もあります。
③書画
中川一政は書画も残しました。書に簡単な絵を描いている事も多いですが、油絵や岩絵の具作品と比べると落ち着いた買取価格帯になります。
④版画
油絵の価格帯に比べると大きく評価が下がります。シルクスクリーン・リトグラフ・銅版画など様々な技法で作品を作っています。薔薇の構図が高価買取しやすいですが、基本的には数万円代の評価になることが多いです。版画に関してはシミや退色などのダメージが発生しやすいです。
中川一政の作品は鑑定は「東美鑑定評価機構鑑定委員会」で
既に亡くなり、市場価値が高い作家に関してはマーケットの健全性を保つために鑑定機関が設立されます。鑑定書があることにより真贋に関する知識が無い方でも安全に売買が可能になります。現在は<東美鑑定評価機構鑑定委員会>が所定鑑定機関となります。
中川一政の作品は高い市場性を誇っているため、鑑定を取得しなくてはならないケースもあります。鑑定するかどうかの基準は【直筆】と【市場性】です。
実際に描かれている作品のみで版画は含まれません。油絵・岩絵の具・書などに限定されます。次の市場性とは流通価格がある程度担保される作品のみ鑑定書を取得しています。
バブル期に作品を購入されていると鑑定書が付いていないことが殆どです。鑑定書が無くても査定は可能のためお気軽にご相談ください。
「真鶴町立 中川一政美術館」で中川一政の作品が鑑賞可能
中川一政は昭和24年に神奈川県真鶴にアトリエを構えました。その後真鶴町に作品を寄贈し、業績を讃え作品を後世に残すために平成元年に設立されたのが「真鶴町立 中川一政美術館」です。
約800点以上もの中川作品を、技法ごとに部屋を分けて常設展示しています。オールラウンダーであった中川は自身の作品の数もさることながら、極めて目の高いアートコレクターでもあったといいます。その中川のコレクションも展示されていたり、アトリエを再現した空間もあったりと一日中楽しめる美術館になっています。
中川一政の代表作品
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扇絵(日本画)
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椿(油絵)
中川一政らしい作品ですね。カノンと呼べる構図です。切り裂くようなタッチで躍動感を表しています。査定額は40万~80万円前後になります。
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マジョリカの壷(版画)
こちらの版画作品はエスタンプという種類になります。直筆サインではなく刷り込みサインなので若干評価が下がります。評価額は1~3万円になります。
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金魚(版画)
デザイン性が高い愛着が持ちやすい作品です。直筆の作品ではなく版画作品なので、1~2万円前後の査定額になります。