はじめに
24時間テレビではお馴染みのチャリティーTシャツのデザイナーが決定しました。近年は芸能人によるデザインが続いていましたが、久しぶりに芸術家が選ばれました。
新進気鋭の女流作家【小松美羽(こまつ みわ)】です。
名前を見た時はそうきたか・・とビックリしました。少し前までは現代美術というジャンルでも評価が定まりつつある巨匠作家にオファーしていましたが、今回は新進気鋭の作家を選んだことは驚きでした。
当社はセカンダリーマーケット(中古市場)をメインにしているため、若くて第一線で活躍している作家には縁がなく、取り扱う作家の多くは物故(既に亡くなった作家)や評価が定まっている画家です。
絵画・美術品を扱う立場ですが、今を時めく人気作家とは縁遠い世界にいます。詳しくない世界を語る事はできないため、歴代アーティストの現時点での評価などを分かる範囲で紹介させていただきます。
小松美羽とは?
1984年生まれで長野県出身の現代作家です。狛犬、龍、麒麟、獅子といった聖なる神獣をモチーフに原色と厚塗りで制作された心揺さぶる作品が印象的です。唯一無二の作品で一度見ると深く心に残る力強さと繊細さを感じられます。小松美羽という作家は恥ずかしながら最近知りました。現代美術を扱うオークションで出品されているのを見て、面白い作家だなと感じ、少し興味を持ちました。同じ時期に地方のデパートで個展が開催され、そこに出入りする業者などから話を聞いた記憶があります。
彗星のごとく現れて瞬く間に一級品の作家になりました。私の知らない時からそのような兆候はあったかもしれませんが。。
24時間テレビのチャリTシャツとは?
24時間テレビは1978年から始まり、今年で43回目を迎えます。「愛は地球を救う」をキャッチフレーズとして、日本各地でチャリティーキャンペーン活動を行う番組として誕生しました。
そこで生まれたのは『チャリTシャツ』です。
基本的に黄色をベースにしています。その理由は、番組がスタートした1978年はベトナム戦争終結から3年しか経過していなかったため、暗い空気が世界中に漂っていたこともあり、「幸せを求める」「平和を求める」という思いで映画『幸福の黄色いハンカチ』から採用したと言われています。
歴代のデザイナー(芸術家)
初めて芸術家が採用されたのが2008年の村上隆からです。それ以降に5名の芸術家が採用されました。美術品を買取している立場から現在の市場評価を簡潔に紹介させていただきます。2008年 村上隆(むらかみ たかし)
→世界的な競売会社サザビーズがニューヨークで行ったオークションにて、1998年に制作したフィギュアが1516万ドル(約16億円)で落札されたことで有名です。その作品の名は「マイ・ロンサム・カウボーイ(My Lonesome CowBoy)」で、金髪の少年が全裸でポーズをとっている姿が印象的です。定期的に版画作品を販売している作家で、作品によっては手の届きやすい価格帯です。最近ではドラえもんとコラボした作品が有名ですね。
2012年 奈良美智(なら よしとも)×大野智
→よく見かけるモチーフは子供や犬でしょう。丸みを帯びたタッチと優しい色合いで構成された作品は一見イラストの様に見えますが、奈良美智のアイデンティティを体現した作品は世界中で評価されています。また、ロックとの親和性も高く楽器を持った構図も多く発表されています。村上隆や草間彌生と同様に、奈良美智の原画作品は数千万円以上の価格帯で流通しています。2019年に『Sotheby’s(サザビーズ)』が香港で開催したオークションにて、2000年に制作した作品(Knife Behind Back)が、約2,500万ドル(約27億7,200万円)で落札されたのは記憶に新しいです。
赤い服を着た女の子が、大きな目をつりあげて怒っているような様子が描かれた作品です。
2013年 草間彌生(くさま やよい)×大野智
→黄色いかぼちゃにドットの水玉模様が印象的な作家です。作家自身もアイコン化され、最近では銀座シックスでも大々的に作品が展示されたため、非常に認知度が高い作家ではないでしょうか。20年程前までは少しがんばれば購入できる価格帯でしたが、現在では国内外の需要が高まり、版画作品でも数十万万~数百万円代で取引されています。
一部の油彩作品は1億円以上で売買されている世界的なアーティストです。
東京都新宿区に草間彌生の美術館があります。通常の美術館とは違ったコンセプトで日本では非常に珍しい展示方法でした。
コチラのブログにまとめていますので、是非ご覧ください。
2014年 天野喜孝(あまの よしたか)
→ファイナルファンタジーやヤッターマンのキャラクターデザインで有名です。上で紹介した現代作家とは異なる層に支持されている印象です。バブル期前後に数多くの版画作品を制作し、人気を博しました。一部の人気作品を除いて、全盛期と比べると落ち着いた価格帯で流通している印象ですが、根強い人気を誇っています。
2016年 蜷川実花(にながわ みか)
→女性写真家であり映画監督です。マルチな才能を活かし幅広いジャンルで活躍しています。市場に出回っている美術作品は上記の作家と比べて多くはありませんが、鮮やかな色合が特徴的で幅広いファンを形成している印象です。まだセカンダリーマーケットにはあまり作品が出回っていないため、確固たる相場は形成されていません。圧倒的な知名度があるため、将来の評価が楽しみです。まとめ
24時間テレビは注目度が高いため、美術の世界と通常の世界を繋ぎ、幅広い世代へ認知度を上げる効果があります。作家によってはそのようなプロモーション方法は嫌がるかもしれませんが、作品を販売する作家にとってはメリットの方が多いのではないでしょうか。もちろん純粋な社会貢献として参加されているとは思いますが。。
美術の世界に従事する立場としては、美術に興味を持つ入り口がもっともっと増えてほしいと願っています。
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