この記事では、ネットに出回っている噂を美術業界に身を置く立場から解説していきたいと思います。
ご存知の方も多いかと思いますが、クリスチャン・ラッセンは、イルカや海の絵で有名なアーティストです。ハワイ生まれの画家で、今もなお魅力的な作品を世に出し続けています。一度はラッセンと言う名前を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
そんなラッセンの絵画はかつて「詐欺商法」と呼ばれる悪徳商法に使用されるケースがありました。現在は、そのような詐欺や悪徳商法はほとんどないのですが、今後ラッセンの作品を購入しようと思う方は心配になるでしょう。
そこで、この記事では絵画の詐欺商法や、過去の事例を解説します。
絵画の詐欺商法はどんなものがある?
絵画の主な詐欺商法は「絵画商法」と呼ばれるものが一般的です。ここからは、絵画の詐欺商法について具体的に解説します。
エウリアンとも呼ばれる「絵画商法」とは?
絵画の詐欺商法や悪徳商法は総じて絵画商法と呼ばれ、展示会を常設店舗ではなくイベント会場などで行い、市場価格と比べて高額な値段で売りつける商法です。画商も商売のため利益を追求するのは当然ですが、程度というモノがありますよね。このように絵画を高額な価格で売りつける画商を揶揄し「エウリアン」という言葉も生み出されました。
具体的な事例を挙げると、1999年10月10日に大手スーパー内の個室で約5時間にわたり、契約しなければ帰宅できないとまで思わせて版画を82万9000円で販売したケースなどもあり、絵画ファンの中だけではなく美術業界でも問題視されていました。
偽物を販売している訳ではない
法外な価格で強引に絵画作品を押し売りする「絵画商法」ですが、作品自体は本物です。エウリアンと呼ばれる画商は、偽物を法外な価格で売っていた訳ではなく、本物を市場の何倍もの価格で押し売りしていたのです。
ただ、世の中には偽物を高額な価格で押し売りしていた悪徳業者もいたため、まだ本物を売っているだけマシだと言えるかもしれません。
現在はこのように悪質で危険性がある販売方法は行われておらず、1990年~2000年代はじめにかけてと言われています。そのため「ショッピングモールやイベント会場に行くと、悪徳業者に巻き込まれるのでは?」と心配の人も安心して良いでしょう。
インターネットが発達したことにより個人でも様々な情報を発信できるようになったため、そのようなリスクを背負ってまで行う業者は殆ど見かけません。
ラッセンと詐欺商法との因果関係は?
ここからは、イルカや海の絵画で人気のラッセンの絵画が詐欺商法という噂について解説します。
結論、その理由は絵画商法が流行った時期によく売られていたのと、ラッセン自身が高い知名度を誇っていたのがピックアップされる大きな理由だったと言えます。
ラッセンというブランドを使用する画商に問題があり、ラッセン自身やラッセンの関係者が絵画商法に関わっていたような事実は聞いたことありませんし、全く関係のないことです。ラッセン=詐欺商法というイメージを持たないようにしましょう。作品自体には罪が無く、ラッセン自身もある意味被害者と言えるのではないでしょうか。
エウリアンと呼ばれる人による展示会商法
先述したとおり、エウリアンと呼ばれる人たちの絵画商法が流行った時期に、ラッセンの絵画はよく売られていました。特に、エウリアンの全盛期には秋葉原駅前で積極的に押し売りを行い、販売員に綺麗な女性を採用していた事が多かったため、男性を中心に被害に遭っていたそうです。また、ももクロのアルバムジャケットも手がけていた事もあったため、その界隈のファンからの人気も高かったようです。
元々のアートファンからの反応は?
美術の世界はとても広く深いため、様々なジャンル分けが存在します。作品の技法だけでも油絵・日本画・版画・工芸などが存在し、その中でもモチーフや表現方法で細分化されている世界です。そのため、浮世絵などのファンから見るとラッセンは受け入れがたいかもしれませんが、ラッセンなどのファインアートを好むファンから見ると浮世絵は好きになれないかもしれません。
どのジャンルが好きかにより感じ方はそれぞれです。はっきりと言えるのは、ラッセンは現代でも需要がある画家の一人のため、アートファンから受け入れられているのは事実です。
絵画の悪徳詐欺商法の過去判例
ここからは、過去にあった絵画商会の判例を紹介します。絵画商会やエウリアンの被害や裁判は2000年代に多く、今回も2009年の判例を見ていきましょう。
被害者は医療機器開発エンジニアの男性です。男性は05年9月神戸三宮の商店街を歩いていると、20代前半の女性(エウリアン)に「展示会をやっているので見て行きませんか」と声を掛けられました。
案内されたビル2階には風景画(版画と称する印刷物)などが並んでおり「気に入った作品は?買うか買わないかは、気にしなくていいですから」と一つの作品を指すと、女性は絵や販売会社のことを説明し、男性をセンスが良いと持ちあげたのです。
やがて60万円で買うように勧められ、「明日になれば80万円に値上がりする」「社長に掛け合ったら、48万円に値引きしてくれた」として、買うように迫ります。
さらには別の女性販売員も出てきて2時間の押し問答になり「損をしても早く帰りたい」という心理状態に追い込まれ、クレジットで購入してしまいました。
その後、男性自身が購入した絵の市場価格を調べたところ、48万円で購入した絵は1万2000円だったようです。
この絵画商法の被害者が起こした訴訟で、08年11月27日東京高裁は「違法行為を複数合わせた勧誘行為。自由な意思決定を不可能な状態に陥らせ、売買契約を締結させた」として、特定商取引法、消費者契約法に違反するとして、販売会社に弁護士費用も含めて約51万円の損害賠償を認めました。
引用:絵画商法判例
あなたの絵画は大丈夫?本物?現在の市場価値は?
ここまで読んだ方の中には「自分も過去に絵画商法で購入した絵があるけど、本物なのかな?」こんな不安があるのではないでしょうか。そこで、美術品買取専門店の立場から過去の経験から判断させていただくと、絵画商法=ニセモノではなく、基本的に本物です。ただ、冒頭でも述べたように本来の市場価格から乖離した金額で売られていたケースが見受けられるため、作品を手放す際は厳しい評価となります。
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